しちごさん【1:3:0】~【2:4:0】

夏だ!恋だ!ホラーだ!!ということで、この度『新騎企画×夏シナリオ』に参加させていただきました!

 

出演人数:4〜6

時間:約20分(推定)

配役

◆五十鈴(いすず):女、大学生

◆夏海(なつみ):女、五十鈴の友達

◆内海(うつみ):男、五十鈴の同級生

◆先生:女、五十鈴の施設の先生

◆亮(りょう):男(兼役可)、五十鈴の先輩

◆少女:幼い少女。夏海と兼ね役可


* * *

少女:ねぇ遊ばない?探検するの!

 

五十鈴:わたしでいいの?それに、あなたのお洋服も汚れちゃうよ?せっかく綺麗なのに…

 

少女:汚れないって。気をつけるから大丈夫!

 

五十鈴:そう?分かった遊ぼ。私いすず、あなたはなんて名前?

 

少女:私はね…

_______

 

五十鈴:…懐かしい夢見たなぁ。あの後結局どうしたんだっけ…?まいっか!起きよ!

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0:

五十鈴:先生、行ってきます!

 

先生:今日は早いのね。学校はお休みでしょ?何かあるの?

先生:おめかししてるってことは…もしかしてデートかしら?

 

五十鈴:デッ!?ただご飯食べに行くだけだから!デートとかそんなんじゃないし!

 

先生:あら、やけに早口ね?

 

五十鈴:もういいでしょ!!行ってきます!

 

先生:うふふ、行ってらっしゃい。

先生:そう…。あの子ももうそんな年頃なのね。私が歳をとるわけだわ。

 

* * *

 

五十鈴:内海おまたせ

 

内海:走ってきた?まだ時間あるし大丈夫だったのに

 

五十鈴:待たせるのも悪いしさぁ。この店ちょうど行きたかったしラッキーだった。ありがとね

 

内海:こっちこそサンキュな。気軽に誘えるの鈴くらいじゃん?

 

五十鈴:まさかまだ友達作れてないわけ?あんたもう2年だよね?

 

内海:うっせ。そだ、飲み物カフェオレで良かったよな

 

五十鈴:うん。私がカフェオレ好きなの覚えてたんだ

 

内海:お前ずっと買ってたじゃんカフェオレ。よく亮先輩にも奢ってもらってたろ 

 

五十鈴:あぁ、そだね。うん…

 

内海:あ?どした鈴

 

五十鈴:なんでもない。それで何?話って 

 

内海:ああそれがさ…、話ってその亮先輩のことなんだよ

 

五十鈴:亮先輩のこと?

 

内海:そう。違う大学行ったの鈴だけじゃん?だから知らねぇと思うんだけどさ…今、亮先輩行方不明らしいんだよ。

 

五十鈴:亮先輩が?!?!???!!

 

内海:うわびっくりした。

 

五十鈴:驚くでしょ!?行方不明って…、なんで教えてくんなかったの!?

 

内海:今教えたじゃん…。それに、詳しいことは俺もよくわかんなくて。

 

五十鈴:無能、ポンコツ!亮先輩のこと心配じゃないの!?

 

内海:俺だって心配だよ。それに、どうしても気になることがあるから鈴を呼んだ

 

内海:鈴、七五三掛夏海(しめかけなつみ)って、覚えてるか?

 

五十鈴:夏海?覚えてるに決まってるじゃん。ついこないだまで一緒の高校だったんだから。それにその、亮先輩といい感じだったし…

 

内海:……なんか、ごめん?

 

五十鈴:なんで疑問なのよ。終わったことなんだしもういいけどさ。

五十鈴:で?夏海がどうかしたの?

 

内海:いや、まだ連絡取り合ってんのかなって思って。七五三掛だけ進路分かんなかったし。

 

五十鈴:………

 

内海:五十鈴?

 

五十鈴:取り合ってない。卒業式に喧嘩しちゃったもん 

 

内海:なんだよそれ

 

五十鈴:女の子には色々あるの!内海には分かんないよ!

 

内海:んなこといわれても…。

 

五十鈴:そもそも、なんで夏海が出てくるの?大学だって違うんでしょ?

 

内海:いや、それがさ……

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内海:高校の時の友達、誰も七五三掛のこと覚えてねぇんだよ。俺と鈴以外、全員

 

五十鈴:…は?何言ってんの?そんな訳ないじゃん。卒業式だって一緒に居たでしょ

 

内海:でも覚えてねぇって言うんだよ。珍しい苗字でそうそう忘れるわけないのに。それも全員がだぞ? 

 

五十鈴:なにそれ…なんか……

 

内海:あぁ、気味悪ぃだろ?

 

五十鈴:…私、ほかの友達にも聞いてみる。アルバムにも写真残ってるはずだし、一回ちゃんと調べ直してみるから。内海もなんかあったら言って。

 

内海:おお、サンキュな。あんま無理すんなよ

 

五十鈴:内海もね

 

 

* * *

 

 

五十鈴:…そう、ううん何でも。いきなりごめんね、それじゃ。

五十鈴:だめか…。全員覚えてないって不気味すぎるでしょ…… 

 

先生:五十鈴ちゃん?ちょっと手伝ってもらっていいかしら?

 

五十鈴:先生。ねぇ、私が高校の時に施設に遊びに来てくれた子覚えてる?

 

先生:遊びに来た子?いたかしらそんな子…

 

五十鈴:ボブカットの子!覚えてない!?

 

先生:あぁ!めぐみちゃんだったかしら!

 

五十鈴:違うよ!夏海ちゃん!覚えてない!?

 

先生:うーん…覚えてないわ。もう歳かしらねぇ。その子がどうかしたの?

 

五十鈴:いや、なんでもない…。夕飯の準備だよね。手伝う。

 

先生:助かるわ。でもいいの?五十鈴ちゃんレポート課題あるでしょう?

 

五十鈴:まだ時間あるし大丈夫。それに何にしようか迷ってるし。

 

先生:テーマはどんなの?

 

五十鈴:『子供時代の遊びについて』。

 

先生:遊び?

 

五十鈴:そう。先生の子供の頃はどんなことしてた?

 

先生:私?そうねぇ…、みんなで縄跳びしたり、すごろくしたりかしら。

 

五十鈴:あーそっか。外で遊ぶか中で遊ぶかっていうのもあるよね。

 

先生:そうだわ!一時期『こっくりさん』が流行ったのよ〜

 

五十鈴:『こっくりさん』って、都市伝説の?

 

先生:そうよ〜。みんなで協力して怖がりな子を驚かせたりしてね〜

 

五十鈴:先生意外とアグレッシブだったんだね…でも、オカルト系は色々難しいからパスかな。ありがとう先生。

 

先生:いいのよ、また何かあったら言ってね。

 

 

* * *

 

 

五十鈴:……ん?あれここ、どこ…?

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夏海:『鈴ちゃん起きて、授業遅れる!田辺(たなべ)先生怖いんだから!』

 

五十鈴:夏海!?なんでここに!?

 

夏海:『置いてくよ!鈴ちゃんってば!』

 

五十鈴:違う、、ここ高校だ…!それにこの話、確かこの後…

0:

夏海:『向こうから佐久間先輩!』

 

五十鈴:『えっ嘘亮先輩!?って、居ないじゃん…』

 

夏海:『やっと起きたね!?いい加減自分で起きて!』

 

五十鈴:『ごめんごめん』

 

夏海:『ごめんで済むか!』

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五十鈴:やっぱり!夢、だよね…?懐かし…

 

夏海:『鈴ちゃん早く!もうチャイム鳴る!』

 

五十鈴:へ?ちょっと待って!

 

〜〜〜〜〜

 

五十鈴:あれ…?ここって、、

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内海:『鈴〜、教科書貸してくんね?』

 

五十鈴:『また?てかいい加減隣のクラスから借りてきなよ。わざわざこっち来んのも面倒でしょ?』

 

内海:『決まってんだろ、俺の友達全員忘れてきてるから鈴のとこ来てんだよ』

 

五十鈴:『呆れた…。はい、昼までには返してよね。私も授業あるから。』 


内海:『まじ助かる!神様仏様五十鈴様!』

 

五十鈴:『おだててないで行った行った!…ったく、内海のやつ…』

 

夏海:『今のって…内海くん?知り合いなんだ、仲良いね』

 

五十鈴:『ただの腐れ縁だよ。それにバスケ馬鹿。スポーツ推薦で入ったもんだから頭だって良くない。』

 

夏海:『でも優しそう。いい人だって感じする。』

 

五十鈴:『やめときな?だって内海だよ内海?ないない』

 

夏海:『そうかなぁ…』

 

五十鈴:『私はやっぱり、亮先輩みたいに頼りになる人が良いな〜』

 

夏海『あぁ確かカフェオレくれた人だっけ?』

 

五十鈴:『そう!もうほんっとにカッコよかった!それに優しかったし…!』

 

夏海:『もしかして一目惚れ?』

 

五十鈴:『もしかしなくても一目惚れ!』

 

夏海:『あはははは!鈴ちゃんらしい!』

0:

五十鈴:……

五十鈴:私、夏海に言ったよね…?なのになんで、なんで…

 

夏海:『でもそれは、鈴ちゃんもおあいこでしょう?』

 

五十鈴:っっっっ!!!

 

* * *

 

五十鈴:っはぁ!!っあ、はぁ…、ゆめ…

五十鈴:思い出したくないこと思い出した…。絶対昨日夏海の話になったからだ…、内海のせいじゃん。

五十鈴:よし!内海のアホのことは一旦忘れよ!とりあえず課題と、あと亮先輩のことも…

0:(M)携帯の着信音

五十鈴:ん…?もしもし

 

内海:あ、鈴?あのさ、七五三掛のことなんだけど…

 

五十鈴:……このタイミングで連絡してくんなバカ!!!!!

 

_____________

 

 

五十鈴:う゛〜ん進まない…。この題材じゃだめなのかなぁ?いっそ選び直す…?

五十鈴:(ため息)遊びねぇ…。私が子供の頃何してたっけ…。あ、そういえばちっちゃい頃内海とよく怖い話して怖がらせてたな。あれって遊びに入るの…?

五十鈴:先生はこっくりさんしてたって言うし…もしかしてそういう都市伝説系って意外と調べやすかったりする?いやでもなぁ…

0:(M)携帯の着信音

五十鈴:ん?うっわ…

五十鈴:もしもし?いい加減着拒していいかな?

 

内海:酷すぎるだろ。

 

五十鈴:こっちも暇じゃないんだけど?で、朝といいなんの用よ?

 

内海:いや、七五三掛と喧嘩したって言ってただろ?あれなんでなんだろって思って…

 

五十鈴:…それ、あんたに言わなきゃいけない?

 

内海:なんか分かるかもしんねぇじゃん?亮先輩が見つかる手がかりになるかもだし

 

五十鈴:………

 

内海:1個なんでも言うこと聞くから!な!?頼むよ。

 

五十鈴:…あんまり面白い話じゃないんだけどね…

 

 

* * *

 

 

五十鈴:『あれ、夏海どこ行った?夏海ー?卒業生集合しなきゃだよー!』

 

亮:『…だよな、俺もめっちゃ笑った。』

 

五十鈴:『今の声…亮先輩!?嘘!こんなとこで会えるなんてラッキー……』

 

夏海:『面白いでしょ?他にもね…亮くんさ、これ好きじゃない?』

 

五十鈴:『…………夏海?なんで亮先輩と話して…、え?何それ、、なんで…?』

五十鈴:『やだ…、見たくない!!!』

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五十鈴:『はぁっ!はぁ、はぁ……!』

 

夏海:『鈴ちゃんだ!こんなところに居たんだね。心配したよ。』

 

五十鈴:『心配?あんたにそんなこと言えたんだ』

五十鈴:『私が亮先輩のこと好きだって知ってたよね!?さっきのあれ何!?私のこと裏で笑ってたわけ!?』

 

夏海:『なんのこと?』

 

五十鈴:『とぼけても無駄!亮先輩といい感じだったじゃん!こんな酷い事ない。あんたのせいよ!!』

 

夏海:『……私が悪い?本当に?』

 

五十鈴:『は?』

 

夏海:『だって鈴ちゃん、亮くんにアピールしたの?そういうの、意気地無しって言うんだよ?』

 

五十鈴:『は…?』

 

夏海:『鈴ちゃんと良い雰囲気にしたかったのに、上手くいかないものだよね。』

夏海:『私は何もしてないよ?告ってきたの亮くんだもん。私はそれに頷いただけ。』

夏海:『私全然悪くないでしょ?』

 

五十鈴:『ふざけてんの?だったら断ればいいじゃん!わけわかんない!』

 

夏海:『だめだよぉ。鈴ちゃんが、亮くんと付き合うと私が困る。』

 

五十鈴:『訳わかんない…』

 

夏海:『分からなくても全然いいよ。』

 

五十鈴:『…もういい。いい。やめて、もう話しかけてこないで。』

五十鈴:『二度と顔見せないで』

 

 

* * *

 

 

五十鈴:ってわけ。

 

内海:鈴、、お前…

 

五十鈴:………

 

内海:亮先輩のこと好きだったんだな

 

五十鈴:っえ、知らなかったの?

 

内海:え?うん、全然

 

五十鈴:馬鹿内海…!あんなことがあったから今はもうあんまりだけどさ……。でも、尊敬してる先輩だったから心配なの。

 

内海:そういうことかよ……。あれ?鈴お前なんかしてる?ガサガサ聞こえんだけど

 

五十鈴:あぁ、参考文献探してんの。

五十鈴:そだ。内海さぁ、歴史学科じゃなかったっけ?都市伝説ものの遊びとか知んない?こっくりさんとかの。

 

内海:こっくりさん?降霊術系ってこと?

 

五十鈴:よくわかんないけどそういうの。遊びよ遊び。

 

内海:つってもなぁ…『ひとりかくれんぼ』だったり、『ブラッディー・メアリー』らへんが有名なやつじゃねぇの?

内海:あ、鈴さぁ、ちっちゃい頃『しちごさん』って話(はなし)したの覚えてるか?

 

五十鈴:あ〜なんかあったかも。あんま覚えてない

 

内海:あれも確か降霊術だった気がすんだよな。

 

五十鈴:りょーかい。ありがと内海。助かった

 

内海:おう、レポート頑張れよ。こっちもなんかあったら言うわ。

 

五十鈴:はいはい。じゃあね

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五十鈴:よし、探してみるか。ひとりかくれんぼはネットに書いてたあれでしょ?ブラッディーメアリーもそんな感じか…、しちごさんは?

五十鈴:『魂をしちごさんの魂と入れ替える降霊術。三つ子の魂百までということわざがあるように、その昔は七五三の季節に親が出来損ないの子供の魂をすげかえるために行われていた。』か…。酷い親もいるものね…

五十鈴:後始末は…?載ってない?ってことは、ハッタリかそれが必要ないからなのかな。結構マイナーで文献がない可能性?じゃあこれはパスね。

五十鈴:先生が言ってたみたいにこっくりさんで書こうかなぁ…

五十鈴:そういえば、小さい頃の七五三で私誰かと遊んだ気がしたんだけどな……。『しちごさん』に会ってたりして。いや、ないない。

 

 

* * *

 

 

五十鈴:ただいま〜

 

先生:五十鈴ちゃんおかえりなさい。あのね、渡したいものがあるんだけれど…

 

五十鈴:何これ?封筒?

 

先生:開けてみて。

 

五十鈴:…!先生これっ…!

 

先生:小さい頃から今までずっと我慢させてたでしょう?行事ごととかお祝いごととか…。でも成人式位はいい思い出にして欲しいのよ。

 

五十鈴:前撮りなんて本当にいいの!?当日だけでも嬉しいのに…!

 

先生:いいのよ。思い切り着飾って綺麗な五十鈴ちゃんを見せてちょうだい。

 

五十鈴:ありがとう先生!

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0:

五十鈴:楽しみすぎて寝られない…!何年ぶりだろ、3歳の七五三以来かな…

五十鈴:七五三…、ううん、考えるのやめよ。楽しみなまま寝たいし…

 

 

* * *

 

 

先生:綺麗よ五十鈴ちゃん。

 

五十鈴:ありがと先生。

 

先生:これから神社で撮影?綺麗に撮ってもらっておいで。あとで先生にも見せてね。

 

五十鈴:分かった。行ってきます!

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0:

五十鈴:ふふ、楽しみ…!

0:(M)電話の着信音

五十鈴:もしもし?

 

内海:あ、鈴?なんか楽しそうだな

 

五十鈴:分かる?先生から成人式の前撮りのプレゼントもらっちゃって!

 

内海:まじか!良かったじゃん!

 

五十鈴:そう!振袖着るの七五三以来だよ〜

 

内海:あ、そうだよ鈴、お前まだ『しちごさん』について調べてたりする?

 

五十鈴:いや、文献少なくて諦めよっかなって思ってたけど…なんかあった?

 

内海:いやなんかさ、俺の方でも調べたんだけど、『しちごさん』って言われる人に共通するのが、話し方らしいんだよ。

 

五十鈴:話し方?

 

内海:ああ、なんつーか、小気味良い?っつーか、話し方のリズムが独特らしい。

 

五十鈴:へー、それどの資料?普通に気になるから送っといて。

 

内海:おー送るわ。鈴も後で着物姿送れよー

 

五十鈴:は?なんで送んなきゃいけないのよ。

 

内海:前撮りの話言い出したの鈴じゃん。いいから送っとけって

 

五十鈴:はいはい。気分良かったらね。それじゃ。

0:

五十鈴:うわ懐かしい…この松の木なんてずっと前と変わらない……

 

少女:お姉さん。この松の木に思い入れでも?

 

五十鈴:女の子?なんか見覚えある気がするんだけど…1人でどうしたの?親御さんは?

 

少女:今居ない。はぐれちゃったの

 

五十鈴:そっか、じゃあ親御さん来るまでここで待ってようか。

 

少女:お姉さん、もし良かったら遊んでよ

 

五十鈴:うーん…まぁ時間あるしいっか。良いよ。

 

少女:ありがとう。ねぇ私、あそこ行きたい、だっこして。

 

五十鈴:しょうがないなぁ。私も着物が崩れちゃうからちょっとだけだよ?

 

少女:ありがとう。あとちょっとなの、頑張らなくちゃ。

 

五十鈴:?何に?

 

少女:ないしょだよ。言ったら願い叶わないから

 

五十鈴:そっか、内緒か。

 

少女:お姉さんのもナイショなの?

 

五十鈴:私?私のお願い事か。探してる人がみつかるように、かな。

 

少女:そうなのね。じゃあお姉さん可哀想

 

五十鈴:可哀想?

 

少女:だってほら、その願い無駄になっちゃうわけだから。パパとママには捨てられて、貴方自身も盗られちゃうもの。

 

五十鈴:何、言ってるの?

 

少女:振袖と、髪結いも。みんな私と同じ格好。儀式のために必要なのよ。

 

五十鈴:ぎ、しき…?

 

少女:だいたいは幼い頃に変わるはず。パパママたちの勝手でね。本当は、あの日に全部終わってた。でも儀式、途中で切れてそのままに。だから私はずっと居た。あなたのそばにずうっとね。

少女:私はね、貴方のとこに居たかった。彼の隣に居たかった。だから貴方と亮くんが一緒になるの駄目なのよ?

 

五十鈴:(N)あぁそうだ、七五三、私の親がいた時に、ここで出会った女の子

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五十鈴:なつみ、ちゃん……

 

夏海:思い出したの?やっとだね。でもこれで、儀式は全部終わったよ。私はこれで自由の身。あとはよろしく『しちごさん』?

0:

夏海:どろん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内海:〜でさ、今日はいい報告持ってきたんだよ。亮先輩!見つかったんだってさ!ケロッとした顔で大学戻って来たらしい!良かったな鈴!

 

五十鈴:…うん、良かったね。内海くん。 

 

内海:…?なぁ鈴、今…

 

五十鈴:ん?どしたの内海?

 

内海:…いや、なんでもねぇ。気のせいだったわ。

 

五十鈴:そう?

 

内海:そだ、こないだ言ったなんでも言うこと聞くってやつどうする?俺に出来るやつで頼むぞ?100万くれとか無理だからな?

 

五十鈴:あ〜、もういいよそれ。

 

内海:は?なんでだよ

 

五十鈴:だって…

0:

夏海:願いはもう叶ったもん。(笑い声)

 

 

 

 

 

 

◆分からない人のために補足説明

『しちごさん』の独特なリズム、それはセリフの全てが五音か七音で表記されているからです。古来より日本人は七五調が心地よいリズムであるとされています。

 

いかがでしたでしょうか?

実は今回…‼️さくらもち兄(以降 もちニキ)とのコラボレーション!同じ題名、同じ縛りにて別々の台本を書きました!こちらもどうぞお読みいただけたらと思います!

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