第七話 「僕よりドレスが似合う人なんていません!」

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【あらすじ】

オーガ領のパーティーに行くことになった魔王様。パートナー候補として呼び出されたモニカの参加をエドガーが大反対していて……? 

 

出演人数:4人(男2女2)

時間:(推定)10分

 

配役

◆カトリーヌ :【女】魔王の秘書、有能、魔王をいじるのが日課

◆モニカ   :【女】魔王城の厨房係 タクシャカの弟子

◆エドガー  :【男】庭師番 モニカの弟 シスコン

◆グレイグ :【性別不問】宮廷針子。オネエ口調でテンションが高い。可愛い子に目がない

 

 

* * *

エドガー:ダメです!それでもというのなら僕を連れていってください!!

 

モニカ:こらエディ!すみませんカトリーヌ様!

 

カトリーヌ:いいえ。それにしても、聞いていた以上の過保護っぷりですね。

 

エドガー:魔王城ならともかく姉さんを他領のパーティーに行かせるなんて…!魔王様は何を考えてるんですか!

 

モニカ:エドガー!!!それ以上言えば不敬です!

 

エドガー:姉さんでも…!

 

モニカ:申し訳ありませんカトリーヌ様。エディは少し口が悪かったですけれど、私もその…、パーティーに出席できるような身分ではないというか……。もっとふさわしい人がいると思うのですが、カトリーヌ様が出席されるのではないのですか?

 

カトリーヌ:私は城での執務が少々。それに魔王様がご存知の女性となると数が限られてしまいまして…

 

モニカ:そうだったのですね…。

 

エドガー:なら尚更姉さんが行く必要なんでありません!僕だって魔王様と面識があります!成長前ですから体型も誤魔化せます!僕が姉さんの代わりに行きます!

 

カトリーヌ:女装するというのは、、体裁的に少し…

 

エドガー:僕よりドレスが似合う人なんていません!!!!!!!!!!!

 

カトリーヌ:そう、ですかね……

 

モニカ:エドガー、そこまでにしなさい

 

エドガー:………

 

モニカ:確かに、エディならドレスだって似合っちゃうと思うけど、でも私は貴方に無理をして欲しくないの。それにまだ決まったわけじゃない。候補として呼ばれただけなんだから。

 

エドガー:……姉さんがそう言うなら。

 

カトリーヌ:モニカの言う通りです。まだ確定したわけではありません。どうしてもという場合は私がパートナーとして赴きますので、一度怒りを静めていただけますか?

 

エドガー:...分かりましたカトリーヌ様。でも、候補の中に僕も入れておいてください。僕はモニカ姉さんの弟です。姉さんには劣るかもしれませんが使える駒です。どうか。

 

カトリーヌ:……分かりました。貴方の名前も残しておきましょう。

カトリーヌ:それでは2人とも、採寸を行いますのでそれぞれの部屋へ行ってください。モニカには私が、エドガーにはグレイグ様がそれぞれ付きますので。

 

モニカ:分かりました。後でね、エディ

 

エドガー:はい。

 

0:採寸部屋、女子

 

モニカ:カトリーヌ様。私がパートナーとして呼ばれた理由。それは私がタクシャカ様の弟子であり、強い毒耐性を持っていることが理由ですよね?

 

カトリーヌ:お気づきでしたか。他領のパーティーともなると魔王様を恨む方は多いです。毒を盛られることも少なくない。数々の候補者の中でモニカだけ毒耐性があるのです。そしてその耐性は、あのタクシャカ様が研究対象とするほどに強い。

 

モニカ:ええ。それが私たち蜘蛛族の特徴でもありますから。そして私は先祖返りした完全人型のアラクネ。これ以上ないほどの適任ですね。

 

カトリーヌ:エドガーくんにはとても悪いと思っています。ですが何卒

 

モニカ:何言ってるんですかカトリーヌ様。カトリーヌ様にご提案された時から私はお受けしようと思っていましたよ。私の力が魔王様をお助けできるのです。これ以上の名誉がありますでしょうか。

 

カトリーヌ:本当ですか?

 

モニカ:ええ!エディのことは私に任せてください!あの子は頑固ですけど、最終的には納得してくれる良い子です。きっと今回も。

 

カトリーヌ:ならばよろしくお願いします。私よりもモニカの言葉の方がエドガーくんも納得するでしょうから。

カトリーヌ:ならばモニカのドレスをしっかりと採寸しなければですね。グレイグ様からドレスコードに則ってピンクのスーツとドレスにするそうですが大丈夫ですか?

 

モニカ:ピンクですか!?わ、私には少し可愛らしすぎるのでは...

 

カトリーヌ:魔王様ももれなくピンクです。大丈夫ですよ

 

モニカ:それは、大丈夫と言っていいのでしょうか...

 

0:採寸部屋、男子

 

グレイグ:はい!じゃあ採寸するわよ〜!

 

エドガー:エドガーと申します。よろしくお願いします!

 

グレイグ:あら、そんなに息巻いてる子は初めてね。アタシを見ても億したり怯えたり、変なものを見る目で見ないのも久しぶりだわ。

 

エドガー:姉さんから見た目で全て判断してはいけない。と教えを受けております。

エドガー:それに、貴方は宮廷針子としてのプライドと、それを是とするほどの実力の持ち主です。怯えるなどと。

 

グレイグ:いいわね。アタシ強い子は好きよ。それに、良いお姉さんね

 

エドガー:そうです!姉さんは素晴らしい人なんです!いつも僕のことを考えてくれて、他人のことを考えて、優しくて、強い。僕の自慢の姉さんです!

エドガー:だからこそ、僕は絶対に姉さんにパーティーに行って欲しくないんです。

 

グレイグ:どうして?

 

エドガー:姉さんが候補に上がった理由、女性職員の中で魔王様と面識があるから。多分それは建前で、本当は姉さんの毒耐性目当てだと思います。他領のパーティーは、毒殺にはもってこいの場所ですから。

エドガー:姉さんも多分それに何となく気づいていて、そしてその話を受けようとしてる。

エドガー:それに気づけないほど馬鹿ではありません。どこの世界に姉が毒を飲むかもしれないのを分かっていて、みすみす見送る弟がいるんですか。

 

グレイグ:なるほどね…。アタシはモニカちゃんのこと一方的にしか見た事なかったから知らなかったけど、貴方の言ってる通りの人物ならこれ以上ないほどの適任ね。その条件ならアタシだってモニカちゃんを推すもの

グレイグ:っと、殺気立つのはやめなさい。ここで問題を起こしても、かえってマイナスになるだけよ。

 

エドガー:……申し訳ありません。

 

グレイグ:エドガーちゃんの不安はその通りだけど、アタシはあんまり心配しなくてもいいんじゃないかって思うわ。

 

エドガー:どうしてですか。まさか、姉さんの命はそこまで重くないとでも?

 

グレイグ:話は最後まで聞きなさい。アタシがモニカちゃんを初めて見た時どう思ったか分かる?

 

エドガー:素晴らしい人だと思ったはずです。姉さんですから。それ以外などありえません

 

グレイグ:ブラコンここに極まれりね...

グレイグ:違うわ。アタシが見かけた時、あの子お菓子に入った毒の鑑定をしてて、毒だと判断したものを嬉々として食べてたのよ。

グレイグ:あとから聞いた話じゃ、タクシャカ様へ個人的にお願いして協力してもらってるそうよ。毒の見分けと一緒に耐性も強くさせようって。タクシャカ様もやけに乗り気でなんか気持ち悪かったけどね。

グレイグ:でも、そんな子が毒に気付かないわけない。姉弟愛は素晴らしいけれど、心配ばかりで閉じ込めさせちゃったら信用されてないんじゃないかって思われちゃうわよ?

 

エドガー:.........

 

グレイグ:駄目って言われるより、頑張ってって言われた方が嬉しいと思わない?それがやろうと思ってることなら尚更。

 

エドガー:......僕が、僕が弱いから、だからいつも姉さんが危ない橋を渡らなくちゃ行けなくて、僕がどれだけ努力しても姉さん程の才は無くて、いつまでも守られてるのが、どうしようもなく悔しいんです。

エドガー:弟だからっていつまでも姉の背の後ろに隠れていたくない。僕は僕の力で姉さんを助けたいんです。

 

グレイグ:いい心がけじゃない。アタシ、そうやって努力を怠らない子好きよ。

グレイグ:だから特別。アタシの知人に腕のたつ子がいるの。良かったら紹介してあげるわ。

 

エドガー:良いんですか?

 

グレイグ:言っとくけど彼女、なかなかハードよ?

 

エドガー:構いません。それで姉さんの力になれるなら

 

グレイグ:なら決まりね。

グレイグ:それじゃっ!残りの時間はファッションショーの時間よ〜!!

 

エドガー:なっ!?この時間は採寸だけのはずです!早く姉さんの元へ戻らないと!

 

グレイグ:どうせデザインとか諸々決めて遅くなるわよ!どーせエドガーちゃん達上等な服一着も持ってないんでしょ!?

 

エドガー:お金が、もったいないので……それに!姉さんはともかく僕は庭師ですから土で汚れてしまいます。

 

グレイグ:作業着なんて選ばせないわよ。ちゃあんと余所行きの格好を見繕わないと、あの子お洒落に厳しいんだもの

 

エドガー:そうなのであれば……?よろしくお願いします。

 

グレイグ:腕がなるわよ〜〜!!!!

 

0:女子更衣室

 

カトリーヌ:…隣が騒がしいですね

 

モニカ:一体なぜ……

 

カトリーヌ:よもやエドガーくんがグレイグ様のお人形さんに……

 

モニカ:お、お人形さんとは……!?

 

カトリーヌ:ちょうどいい。採寸もあらかたのデザインも決まったことですし様子をうかがってみましょうか。グレイグ様?

 

グレイグ:はあ〜い!!!カトリーヌちゃんモニカちゃん見てちょうだい!超超超可愛くないかしら!?

 

モニカ:まぁ……!エディが……

 

カトリーヌ:まさか、コルセットまで締められているとは……

 

エドガー:く、るしい…………

 

グレイグ:自分でも言ってたけどエドガーちゃんってホントにドレス似合うわね〜!次はこれなんてどうかしら!?

 

エドガー:僕で遊ばないでください!!それに、服はさっきのもので決まったはずですよね!?

 

グレイグ:やだ!そんなつれないこと言わないの!文句言ってたら約束破っちゃうわよ〜?

 

エドガー:それは……っ、、良いですよもう……

 

グレイグ:やったわ〜!!じゃあ次はコレに…

 

カトリーヌ:…………あぁ、遅かったみたいですね

 

モニカ:…………

 

カトリーヌ:モニカ?

 

モニカ:珍しい。エディがあんなに打ち解けてるなんて。普段自分のことを何も話してくれないのであの子が同僚やお友達とどんな風に関わってるのかが分からなかったんです。でも、これが見れて良かったです!

  

カトリーヌ:私にはグレイグ様の一方通行に見えますが……

  

モニカ:それでも、エディのことを気に入ってくれたのでしょう。私の自慢の弟はみんなが思っているよりずっと強くて聡い子なんですから!

 

カトリーヌ:…………なるほど、姉弟というものはよく似ているものですね。

 

モニカ:ほら見てくださいカトリーヌ様!エディったらあんなにはしゃいで!

 

グレイグ:逃がさないわよ……成長期前ならコレだって似合うわ…!!

 

エドガー:肩出しミニ丈ドレスはいくら僕でも駄目なの分かってますからね!?

 

カトリーヌ:………………そう、ですね……そういうことに、しておきましょうか……

 

 

花より桜餅

さくらもちの台本置き場 未完結ものアリ〼

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