【あらすじ】
愛はお金で買えるなら、愛の大きさは何で測れるのでしょうか
出演人数:4人
時間:30分(推定)
配役
◆美夜(みや):【女】来夢の彼女
◆来夢(くるむ):【男】ホスト
◆黒服:【男】内勤、チャラくはない
◆いちか:【女】被りのエース
兼ね役
◆アナウンサー:誰がやっても可
* * *
黒服:来夢の素敵なお姫様より、、エンジェル3本いただきました!!愛の言葉まで54321
いちか:来夢くん昇格おめでとう!今までずっと頑張ってきたの、いちか、ずーっと側で見てきたから、なんか感慨深いです!不動のエースとして来夢の夢一番近くで応援してるね。よいちょ〜
黒服:よいしょ〜!!!それでは来夢よりお姫様に向かって!54321
来夢:いちか今日はありがとう。たくさん来てくれるのも勿論嬉しいけど、、俺はいちかが俺の事ずっと想ってくれるだけで嬉しいよ。これからもよろしく。よいしょ!
黒服:よいしょ〜!!!
いちか:嬉しい〜!ねぇーえ、いちか今日もいっぱい使ったんだしさ、アフター行ってくれるでしょ?
来夢:もちろん。どこ行きたいとかある?無かったら俺がおすすめのとこいくつかピックアップするけど
いちか:来夢に任せる〜。やった!今日もいちかがいっちばんお金使ってるもんね
来夢:いつもありがとう。でもホント無理しないでよ?
いちか:ううん!じゃあいちか、ミーティング終わるまで店前で待機してるね!
0:ーーーーーー
来夢:はあ〜〜〜〜…
黒服:どうした来夢?いやに盛大なため息じゃん
来夢:いやさぁ…、今日もあのクソエースとアフターなんだけど。まじ回数考えろよ
黒服:でも一番金使ってくれてんだろ?じゃいいじゃん行ったげろよ。ケアするのも担当の役目だろ
来夢:毎度ホテル街に着いた瞬間『酔っ払った』って言われるこっちの身にもなってみろよ。枕枕枕枕!すぐに股広げる貞操観念ほんと無理。だからパパ活女嫌いなんだよ
黒服:そんな女の子たちから貢がれてるのがお前な。そんな態度続けてたらいつか刺されんぞ?
来夢:別に本営かけてる訳じゃないし。つーか俺そもそも……あ、
黒服:ん?なんだ?さては女か
来夢:そう、彼女
黒服:そっかそっか、彼女ね〜…彼女!?
来夢:そう。見せないからな
黒服:見ないよ。え、まじで彼女?育てじゃなくて?
来夢:彼女!あ、晩ご飯あるって言ってる。やった
黒服:へ〜…どこで知り合ったよ?ホスト相手ってことは相手も夜職か?
来夢:いや、俺が高校の時から片想いで、こないだやっと付き合えたんだよ。彼女は昼職だから全然会えないんだけど
黒服:昼職!?そりゃまた…お前と結びつかねぇな…
来夢:んじゃっ、さっさとミーティングして帰ろうぜ!
黒服:おい、エースの子も少しは気にかけてやれ
0:ーーーーー
美夜:いらっしゃい。あ、こういう時『おかえり』って言ってあげる方が良かった?
来夢:いや全然。ド深夜だけど大丈夫なの?仕事は?
美夜:明日は休み〜。ごめん急に。こっち来る予定だったお母さん急に無理になってさ。誰か食べる人〜って探してたら来夢のこと出てきたわ
来夢:仕事仲間とか友達を先に思い出そうな
美夜:だってこんな深夜に家来てくれる人なんて限られてるじゃん。ありがと来夢
来夢:別に、俺は美夜の料理食べれて万々歳だし…
美夜:あ、もしかして照れてるんだ?
来夢:あーもうそうだよ!これ以上いじんな!皿どこ?俺入れるよ
美夜:ホント?助かる。一番大きいお皿、上の棚にしまってたんだよね
来夢:ほい。まじで美味そう、てか美夜の料理で不味かったのない
美夜:大学入る時から自炊してたからね。さっ、おあがりよ〜
来夢:いただきます。…ん!うまい!アルコールしか入れてない身体に染みる…!
美夜:何かは入れときな?倒れてからじゃ遅いんだから
来夢:…なぁ、今更だけどさ、本当に俺と付き合ってよかった?夜職だし、相手にしてるの女の子だし…、それにホストってだけで嫌な顔する子もいるでしょ
美夜:んー?私はその仕事に誇りを持ってやってるならなんだっていいよ。それに来夢が悪いやつじゃないの知ってるし、高校の時から私の事ずっと好きだったんでしょ?なら何も疑うことないよ
来夢:できた人間すぎて俺が消滅しそう。他のホストはみんなケダモノなんだから美夜は絶対ホストクラブ来ちゃダメ。いいね!?
美夜:そこまで言われると気になってしまうのが人間…
来夢:ダメったらダメ!!!
美夜:あはは!分かってるって。私は夜職じゃないから他の子みたいにいっぱい注文出来ないし。それにみんな可愛いくて自信無くしそうだから行かないよ
来夢:美夜は可愛いよ。俺の彼女が世界一可愛いんだから
美夜:えー?流石本業は褒めるのが上手いねぇ
来夢:だから本気だって!
美夜:あはは!ちゃんと伝わってる!ありがとね
来夢:今度休み取れたらさ、一緒に旅行行こうよ。連休取れるかもしれなくて、美夜行きたいところある?
美夜:選んでいいの!?なら色々ある!ちょっと待ってて書き出すから
来夢:そんなあんの?…ま楽しそうだからいっか
0:翌日
来夢:昼飯までありがとう
美夜:いいってことよ!仕事頑張ってね
来夢:うん!そっちも!
来夢:さてと…ん?着信?もしもし?
黒服:出た!来夢お前今どこだ!
来夢:どこって、家に帰ってるところだけど。なに、何かあったの?
黒服:ホスクラの掲示板にお前の本カノ晒されてる。確認取りたいからいつもより早く出勤してこい。軽く見ただけだけど…やべえかも
来夢:は……?それってどこの掲示板だよ、誰がそんなことして
黒服:そんなんお前の姫の誰かに決まってんだろ。おおかた、つけられでもして特定されたかなんかで
黒服:とにかく姫が街をうろつきだす前にこっち来い、いいな
来夢:分かった
0:ーーーーーー
黒服:来夢来たか!これ見ろ
来夢:『来夢の本カノがちきもい』……写真も撮られてるし、、やば
黒服:これ彼女の家の近所か?
来夢:そうかも…どうしよ、そもそも誰がこんなこと…
黒服:あの子じゃねーの、来夢のエースのいちかちゃん
来夢:いちかが?でも、アイツならやりかねない
黒服:だよな。その子今日来るって?
来夢:待って、、来るって言ってる
黒服:まじか…。いいか来夢、とりあえず育てだって言っとけよ。間違っても本カノって言ったらお前終わるぞ
来夢:だよなぁ…いちか掲示板もよく見るし…。でも育てなんて俺嘘でも言いたくないよ…
黒服:馬鹿野郎。この仕事なんて嘘ついてなんぼみたいなもんだろうが。本人に聞かれなきゃいいし、それが嫌なら先に全部話しとくかだ
来夢:そう、、だな…
0:ーーーーー
いちか:来夢!!ちょっと聞きたいことあるんだけど
来夢:いちか今日も来てくれたんだ、ありがとう。どうしたの?
いちか:ホスクラの掲示板にこんなんあったんだけどこれホント?まじだったらありえないだけど
来夢:……なにこれ、俺と女の子?いちかこの子見たこと無かったっけ
いちか:なに?被り?いちかがいるのに本営かけてんの?ありえないんだけど。いちかに本営かけたことないよね?なのに他の女に本営かけてんの?もう枕した? 枕したの?ねぇ!!!!
来夢:いちか落ち着いて!他の姫の迷惑になっちゃうから
いちか:来夢が悪いんじゃん!いちかを不安にさせるようなことしないでよ!!!!
来夢:わかった。ちゃんと説明するから聞いて
いちか:離して!もう来夢なんか知らない!!
来夢:いちか、俺の目、見て
いちか:………
来夢:あの子は確かに被りの子だけど、いちかほどじゃないよ。あの子はただの育てだからいちかは気にしないで。
いちか:…嘘
来夢:俺がいちかに嘘ついたことあった?アフター優先した事ある?
黒服:………ない
来夢:でしょ?いちかはそれじゃ安心できない?
いちか:…ううん。来夢がそう言うならホントなんだね。確かに来夢、いちかに嘘ついたことないもん
来夢:いちかは何も心配しなくていいから。俺のエースとして胸張っててよ
いちか:うん!来夢ごめんね。仲直りのボトル入れる!
来夢:ほんとに?ありがとういちか。やっぱいちかが1番だわ
0:ーーーーーー
黒服:おつかれ、名演技だったな
来夢:冗談言うのやめてくれ…だいぶキてる…
黒服:でもちゃんと言えてたじゃん。骨までホストかってくらいの名シーンだったぞ。でもなんか、掲示板に書いたのはいちかちゃんじゃないっぽい?
来夢:かも…。でもじゃあ誰が…
黒服:さあな。でもお前の客なら、結構誰でもおかしくないと思うぞ。深刻なら代表に相談するか?
来夢:ごめん…今日はもう帰るわ。悪いけど代表には体調悪くなって帰ったって言っといて…
黒服:お?おう分かった。来月はバースデーなんだし無理すんなよ
0:ーーーーーー
来夢:くそ………、とにかく美夜に相談して…って、、アイツもう寝てる時間じゃん。明日は普通に仕事あるだろうし、俺とは住む世界、違うもんな…
来夢:はは……こんなんでガキみたいに泣くとか俺、なっさけねぇ…
0:(間を空ける)
美夜:『暫く会えないかも』…か。やっぱりホストって忙しいよね…私にはよく分かんないや。
美夜:なにか、、来夢にできることってないのかな…
0:翌月、来夢のバースデーイベント
黒服:来夢いけるかー?
来夢:まだもうちょい…。な、そこの花の色味寂しくね?変えれる?
黒服:開店後に言うなっての!もう姫も入ってんだしお前はそのしみったれた顔早く何とかしろ!今日の主役だろ!
来夢:そうなんだけどさ…
来夢:これ終わったら美夜のとこ行く、これ終わったら美夜のとこ行く……よし!OK!
黒服:行けるか?C番卓でヴーウ入れてもらってる
来夢:了解
黒服:ふぅ……、売上はまずまずってとこか。エースの子も来てるし調子いいな
美夜:あ、あの…
黒服:はい、いらっしゃいませ。初回の方ですか?
美夜:はい…あの、初回でも指名ってできます?
黒服:初回指名ですね。本日は来夢のバースデーイベントですが…
美夜:来夢の指名なので大丈夫です
黒服:承知致しました。お席にご案内します
黒服:来夢、B番卓に初回指名の姫
来夢:了解。初回指名か、珍し
来夢:ご指名ありがとう。来夢って言います、お隣いいですか?
美夜:来夢!
来夢:は、美夜!?
美夜:えへへ、来ちゃった
来夢:な、、んで
美夜:今日バースデーなんでしょ?最近会えてなかったし、来夢が頑張ってる分、私もなにか返したいというか…
来夢:気持ちはすごい嬉しいけど、俺言ったじゃん、ホスクラは来ない方がいいって
美夜:それでも折角のバースデーなんだから来夢のために何かしたいじゃん。私が出せるお金って正直少ないからオリジナルシャンパン?くらいしかいれらんないけど、それでも来夢の売り上げになるんでしょ。
来夢:なるけど…
美夜:お願い。今日はちゃんと客として居るって決めてるし!ホストの来夢はちょっと見たかったっていうのはあるけどね
来夢:……分かった。俺のために来てくれたんだよね。ありがとう。オリシャンもう頼んだ?
美夜:ううん、まだ
来夢:OK。じゃあ頼むわ。オリシャンお願いします
0:ーーーーーー
いちか:ねぇ、なにあの卓。見たことない被りいるんだけど。あの女もしかして来夢が育てって言ってた、、ふーん…
いちか:ねえ!今すぐこのお金で頼める1番高いボトル入れて!あとタワーもすぐやるから!早くしてよね!!来夢もすぐ呼び戻して!
いちか:エースの格の違い見せてやるよババア
0:ーーーーーー
美夜:あのさ、今日営業終わったらウチに...
黒服:来夢、A卓にシャンパン入った
来夢:わかった。ごめん、オーダー入ったから行かなきゃ
美夜:もう?こんな早いんだね
来夢:バースデーだから特にね。ごめん、すぐ戻るから!
美夜:いいよ。行ってらっしゃい!
0:ーーーーーー
いちか:来夢〜!遅いよ!
来夢:ごめんいちか。モエシャンこんなに入れてくれたの?
いちか:来夢のバースデーなんだから、エースのいちかが頑張るのは当たり前でしょ?ぶっちゃけ他の被りはあんまお金ないじゃんwせっかくのバースデーなのに来夢可哀想〜
来夢:勿論いちかが1番使ってくれてるけど、他の姫も頑張ってくれてるから、ね?
いちか:何その言い方。まぁいいや。タワーやるからすぐ準備して。ヘルプも集めて豪勢にしてよね
来夢:タワー楽しみにしてた!ほんとにありがとういちか!
0:ーーーーーー
黒服:来夢とA卓素敵な姫様よりシャンパンタワーいただきました!姫様よりシャンパンタイトルいただきましょう!
いちか:来夢のバースデーだからいつもより頑張ってまーす!大して金ない昼職ババアに疲れたら何時でもいちかのとこ来てね♪1000万使ったから今日は担当と朝まで過ごしまーす!よいちょ♡
黒服:よ…よいしょー!!
いちか:あー最高!どう来夢?いちかのシャンパンタワー!美味しいでしょ?
来夢:いちか、他の姫もいる前であれは
いちか:え、じゃあ何、いちか以外の女とアフター行く気だったの?1番お金使ったんだよ?1000万!1000万も使って朝まで一緒にいてくれないとか意味わかんなくない?どこの女と過ごそうとしてたわけ?
来夢:それは…
いちか:B卓にいるの来夢の育てでしょ。今日くらい優先してよ、育てのくせに10万しか使ってないじゃん。来夢のバースデーなのにしょぼすぎ。やる気あんの?
いちか:ねぇ、どうすんの?
来夢:......勿論、いちかと一緒にいるよ
いちか:だよねー!やっばい!来夢と朝まで一緒なのまじ嬉しい!
美夜:............
美夜:すみません、お会計できますか
黒服:え、、直ぐに来夢戻ってきてくれますよ。もう少し待っても
美夜:いえ、いいんです。お願いします。
黒服:...承知致しました
美夜:...............なんか、馬鹿みたい
いちか:やっと気づいたの?おばさん
美夜:貴方、さっきのタワーの子...
いちか:そだよ。来夢に選ばれたのは私♪やっぱりホスクラでお金使わない人は選ばれないんだよね〜
美夜:私だって10万円も...
いちか:10万?あはっ!ばっかじゃないの!いちかは1000万使ったの。今日のために、汚ったないおっさんの相手して稼いだ1000万!!
いちか:ずっと綺麗な身体でいたい昼職ババアは早く居なくなってよ。今は来夢の情けで育てにしてくれてるけど、あの額だったらそれももう終わるでしょ
美夜:育てって何?
いちか:知らないんだ。あのね、育てっていうのはただの営業だから。最初はお金使わなくていいよ〜って言って本営かけながら太客にしてくアレ。そんなんも知らずに来たわけ?どんだけ脳内お花畑なんだか
美夜:太客...?
いちか:本当に何も知らないじゃん。要は体(てい)のいい金ズルってこと!アンタは自分のこと来夢の恋人だ〜!なんて思ってるかもだけどそんなわけないから。来夢はいつだっていちかを一番にしてくれるもんね♪
美夜:そんなわけ...!
いちか:あるじゃん。来夢は朝までいちかと一緒にいてくれるって約束してくれたよ?もしかしたら今日こそ枕してくれるかも...♡なんて
いちか:やめて!聞きたくない!
いちか:聞かせてんだよババア!それじゃ、来夢にもう近寄んないでね。
美夜:............
来夢:いちか?遅かったから心配したよ。大丈夫?
いちか:うん!ちょっと友達見かけたからお話してただけ!
来夢:そう?なら良かった
いちか:ねぇ来夢も飲んでよね〜!
来夢:分かった分かった
0:ーーーーーー
来夢:え、夜職で働く?
美夜:そう。来夢と時間帯同じになってちょうどいいかなって
来夢:なんで急に。美夜ずっと今の職業に憧れてたじゃん。それなのに
美夜:いいの!他の仕事もやってみたいって思ってたところだったし!来夢の店にもよく行けるようになるからさ
来夢:美夜がそれでいいなら俺は何も...
0:ーーーーーー
黒服:C卓の姫よりエンジェルぶち込み!ありがとうございまーす!!!
来夢:美夜ありがとう!でもほんとに無理しないで。また出勤増やしたんでしょ
美夜:だいじょぶ!それより今日はアフター......
来夢:ごめん、今日はいちかと...
美夜:そっ、、、か............いや、大丈夫だから!
来夢:でも!
黒服:来夢、そろそろ行かないと
来夢:......ごめん、ありがとう
美夜:やばい、お金ない...最近家にも来てくれないし、今日もあの子と......
美夜:ほんとに育て、だったのかなぁ....
0:ーーーーーー
黒服:そういや、あの子結局育てだったんだな
来夢:は?違うけど
黒服:いやいや、最近よく来てるし高額オーダーもしてる。どこをどう見たって立派な太客。あれだけ使わせといてそれは嘘
来夢:太客じゃない!ちゃんと彼女だし...夜職だってそもそも俺は望んでない!でも、美夜がやりたいって言うから俺は...
黒服:は?お前それ、ホストがよく使う逃げの言葉そっくりだぞ。どうせ自分もナンバー上がるから強く言ってないだろ
来夢:それは......
黒服:本当に彼女なら会う時間ちゃんと作ってやれ。ただでさえここは金の感覚がバグるんだから、正当に付き合うならもう来ないように言わなきゃだろ。全部なくなってからじゃ遅いからな
来夢:そう...だよな。
黒服:最近営業頑張ってるじゃん。父親への仕送りなんだろ?ここで揉め事起こして退職とかいいことねーぞ
来夢:分かってる。今はそれだけじゃないけど、、でも確かに最近の美夜、なんかおかしい......。LINEだって全然返信くれないし
黒服:なぁそれって、、やばくないか?
来夢:......俺今日休む!ごめん代表にうまく言っといて!
黒服:は!?ちょお前うまくって...ちゃんとした理由なしに欠勤はヤバいって!
来夢:よろしく!!!
0:ドアが開く音
来夢:美夜?いる?
美夜:来夢.........。なんかウチくるの久しぶりだね。まぁずっとエースのとこ行ってたし当たり前か。
美夜:何か用?あぁ、次のイベントなら心配しないで。とりあえず200は稼げそうだから
来夢:そうじゃなくて...、ごめん。もうホスクラ来なくて大丈夫だから
美夜:......どういうこと?
来夢:だから、もう俺にお金使わないでいいから。
美夜:なんで?
来夢:なんでって、、美夜は俺の彼女じゃん...彼女にお金使わせるのは違うなって思って。だいぶ使わせてからこんなん言うのもあれだけど...
美夜:そう、そうなんだ。もう飽きちゃった?それともお金足りなかった?
来夢:は?なんでそういうことになるの!違うよ!俺は美夜が無理して欲しくなくて
美夜:じゃあ私の価値って何!
来夢:美夜...?
美夜:私は育てなんでしょ!?ちゃんと太客になったんだからそれでいいじゃん!来なくていい?彼女だからお金払わなくていい?お金払わないと来夢に会えないくせに!
美夜:彼女なのにデートもできないっておかしくない?いつもいつもエースの子に来夢を取られて、私に残るのは孤独と膨らむ借金だけ!なのにことかいて言うことがホスクラに来るな、ですって?どれだけ私を惨めにさせれば気が済むの!?
来夢:ご、めん……俺、美夜がそこまで思い詰めてたなんて知らなくて……
美夜:そうだよね。だって来夢はお金しか見えてない。本当は私のこともさして興味なかったんでしょ?もしかして高校の時からそう思ってた?私のことちょろい女だと思ってたんだ
来夢:違う!!俺は美夜のことがずっと好きだった!
美夜:『だった』…?じゃあ今は好きじゃないってこと?
来夢:そうじゃなくて…、ねぇ美夜今日なんかおかしいよ。一旦落ち着いてさ、また明日話し合おう?働きすぎて疲れてるんだよ
美夜:疲れさせてるのは来夢でしょ!!
美夜:来夢がシャンパン入れて欲しいって言うから入れた!来夢がナンバー上げたいって言うからギリギリまで無理して出勤してお金作った!
美夜:なのに来夢は私に何か返してくれたことあった?ないよね?自分のために1番お金使ってくれる子のとこ行って、同伴だってしてくれなかった。まともなデートなんて1回もできてない!
美夜:来夢は結局、私のことをただの金ヅルとしか見てなかった。楽しかった?どんどん落ちぶれていく女を見るのは。
来夢:そんなの思ったことないよ!確かにいちかのとこにばっか行ってたかもだけど、でもそれにはちゃんと理由があって…
美夜:(遮る)その子の名前出さないで!!その子の名前を聞く度に私が惨めになってる気がする。自分がどんどん嫌いになる気がするの。勝たないといけないのに、私の方がちゃんと彼女だって認めさせるために、あの子だけには勝たなきゃって思ってたでも!!勝てなかった…。何がダメなの何が足りなかったのあの子にあって私に無いものって何!これ以上私から奪わないでよ!!!
来夢:…………
美夜:これで来夢まで奪われてたまるもんか…。わたしは、わたしは来夢の彼女、、来夢の隣はずっと、わたしが……
美夜:だから……だからこうすれば、来夢はずっとここにいてくれる?
0:(包丁を向ける)
来夢:な…!?なにやってんの!!そんな危ないものは早く捨てて!
美夜:もうやめれない!自分だって馬鹿なことだって分かってる。でもこれしかない、来夢がここにいてくれるには、これしかないの……!
美夜:ごめん……あいしてるよ、くるむ
来夢:美夜!待って…!
0:(ナイフで刺される)
来夢:かっ………
美夜:あぁ…来夢、ごめんね、大好きだよ。こうして
いっしょにいよ…?
来夢:み、、や……ごめん…ごめんな
0:(倒れる音)
美夜:くるむ…
来夢:おれ、みやにいっぱいいっぱい、無理、させて…自分のことしか考えてなくて、ごめん……。なんにも上手くいかないなぁ…、美夜を守るつもりが、いつの間にか守られちゃって、それに感謝しない、おれは…っ、ださいね。
来夢:いいよ。美夜に殺されるなら俺、いいよ
美夜:来夢…くるむまって、やだ、行かないでよ。置いてかないでよ、私も…!
来夢:これ、、持ってて。俺が、みやのこと、ちゃんと、好きだったって…こと……あれ、ほんとうだから……
美夜:来夢…、くるむ…!!ねえなにこれ…、っ!え…?これ…っ、指輪…?
美夜:来夢、なんでこれ持ってるの、なんで私に会いに来て、指輪……、、
美夜:あ
美夜:ああ
美夜:ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
アナウンサー:続いてのニュースです。今朝未明、○○市のアパートで「恋人を殺してしまった」との通報がありました。駆けつけた警察官により容疑者の女性は逮捕。被害者とのつながりや動機を現在捜査中です。
0:ーーーーーー
黒服:どんだけ待っても来夢は来ないぞ。元エース
いちか:うっさ。サボらないでもらっていいですか〜?
黒服:サボってねぇわ。ホスクラ入る時にメイクがドロドロに落ちた女にガン飛ばされて怖いっつークレーム処理しに来たんだっての
いちか:それいちかじゃないし
黒服:お前だわ。そんなパンダ目になりながら言われても説得力ない
いちか:…アンタはいいよね。黒服だから、同僚だから、簡単にプライベートも付き合えて
いちか:いちかは結局、来夢にそういうとこ見せてもらえなかったな
黒服:ホストと客だ。そういうもんだろ
いちか:そういうもんじゃないホストだって居たの。
0:(間をあける)
いちか:姫には絶対平等でいてくれる来夢が好きだった。いちかはさ、お金だけは沢山稼げたから今までの担当にはATM扱いされてて、テキトーに抱けば絆されると思われて。でも来夢はどんな時でもいちかをちゃんと人間としてみてくれたの。そういうところが好きだったの。
いちか:だから掲示板に書いてたことは腹立ったし、その女が店に来た時はカッとなって色々言っちゃった。来夢はそうじゃないって否定してくれたし実際その子を目に見えて贔屓する訳じゃなかったから安心してたらこれ。
いちか:ねぇ、どっから間違えてたと思う?
黒服:お前が来夢と会ったところからだろ。ホストに金落とす女は馬鹿なんだよ
いちか:はぁ?それ黒服が言っていい事じゃなくない?いちかにもだけど!
黒服:あとは来夢も馬鹿だった。あいつほどホストに向いてない男に俺は出会ったことがない。ホストやってくには、自分を偽るのが下手くそすぎたんだ
黒服:誰に刺されたとしても、アイツは遅かれ早かれ、こうなってたとは思うけどね
いちか:・・・・・・・・・
黒服:うい、さっさとその汚ねぇ面拭け。業務妨害だコノヤロー
いちか:女の子に汚い言うなし
いちか:いちかはあんたほどホストが合ってる男に会ったことないけどね。戻んないの?
黒服:戻んねぇよ。もう鼠径部(そけいぶ)はごめんだ
いちか:そ
いちか:いちかはいつだって待ってるからね。アンタと来夢は、似たもの同士なんだから。
黒服:・・・やっぱお前、ホスクラ来るの向いてないよ。お前らみたいな、腹にもの隠せないやつはな。
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