「今宵はツインテールで」
【読み方】 「こよいはツインテールで」
【あらすじ】 突如突きつけられる髪結師のレヴィへの殺人容疑。被害者は全員髪を無惨に切り裂かれていたらしい。さらに同席していたお得意様のシルの親友も被害者として帰らぬ人となる。 犯人の手口と犯行動機とは?全ての謎が解けた時、レヴィの本当の姿が顔を覗かせる
出演人数:3人(男1女1性別不問1)
時間:20~30分(推定)
◆レヴィ:【性別不問】髪結師のオネエ。フレンドリーで気さくな性格からリピーターが多く、「レヴィ姉」と慕われていることもしばしば
◆洋司:【男】大西 洋司。捜査一課のおじさん刑事。若者のことはよく分からない
◆シル:【女】最近知名度が上がり始めたダンサー。レヴィの腕に惚れ込みほぼ全てのヘアスタイリングをレヴィに任せている。
* * *
(以下、本文)
レヴィ:今日は何にするの?
シル:ん〜とね、ポニーテールで、毛先だけ巻いてもらおっかな〜!どんくらいかはレヴィ姉に任せるよ〜!レヴィ姉の腕は確かだもん!
レヴィ:んもぅ!シルちゃんは相変わらずお世辞が上手ね!今日はなんだったっけ?
シル:前行ったバーにオファーもらったの。2回目だからいつもより気合い入れなくっちゃ。せっかくならリピートして欲しいし!
レヴィ:そうよねぇ。きっと大丈夫よ!シルちゃんは素敵なダンサーだもの!アタシが保証するわ
シル:レヴィ姉のスタイリングのおかげだよ〜!レヴィ姉こそ最近指名多くなって大変なんでしょ?
レヴィ:おかげさまでね。大変だけど自分の腕が認められるのはやっぱり嬉しいものよ。
シル:ねー!
レヴィ:でもねぇ、最近よく来てくれてた子からの予約がめっきり無くなっちゃってね……、何かあったのかしら
シル:もしかしてウチと時々予約被ってたマキちゃん?レヴィ姉ほどの腕前なら少なくとも見限ったわけじゃないと思うけどね。そういえば最近コミュニティでも見かけなくなったなぁ…どうしたんだろ?
0:(扉が開く音)
洋司:失礼する
レヴィ:いらっしゃい。あら?この時間にシルちゃん以外の予約はなかったはずだけど…それに初めて見る顔ね?
洋司:私はこういったものでしてね。
0:(警察手帳を見せる)
レヴィ:お巡りさん?
洋司:おまわりではなく刑事です。捜査一課の大西と申します。少しお話よろしいでしょうか?
レヴィ:もちろん構わないけれど……なんの御用かしら?
シル:まさか……レヴィ姉がなにかの容疑者として捜査してるとか!?ひっどいおじさん!レヴィ姉はそんなことしないもん!
洋司:お、おじさん……まだ三十路になったばかりなのに…
レヴィ:落ち着いてシルちゃん、刑事さんはまだ何も言ってないわよ
洋司:い、いえその通りです。実は貴方に殺人の疑いがかかっておりまして
レヴィ:え、アタシに?殺人の?
洋司:ですのでいくつかお話をお聞きしたくてですね。お時間はよろしいでしょうか
レヴィ:え、えぇ。ちょうどこの後の予約は無いし…。でも刑事さん、アタシ本当に心当たりが無いんだけど
シル:そうだよ!レヴィ姉のことならウチがいっちばん知ってるもん!もう間違った捜査してるんだー!
洋司:……彼女は?
レヴィ:いつも来てくれるダンサーの子よ。シルちゃん。
シル:シルだよ〜。普段はバーとかでダンスしてる。あ、こう見えてもちゃんと成人してるからね?
レヴィ:アタシはここで髪結師として勤めているわ。そうだ名刺!アタシの渡しとくわね
洋司:あぁ……そりゃどうも……
0:(名刺をもらう)
洋司:レヴィ、さん…で、よろしいですか?
レヴィ:ええ!
洋司:……本名は?
レヴィ:………レヴィよ
洋司:違いますよね。あのーほら、芸名みたいなもんでしょこれ。本名は?
レヴィ:言いたくないわっ!アタシの名前、ぜ〜んぜん可愛くないんだもの!可愛く見られたいのよっ!
シル:レヴィ姉はレヴィ姉だし!それが本名だし!
洋司:あーはいはい、分かりました。とりあえずそれでいいです。
洋司:レヴィさん。この2人と面識はありますか?
レヴィ:あら、この子達ならふたりともアタシが担当したことある子達よ。
洋司:なるほど……
レヴィ:この子達がどうしたの?
洋司:実は全員遺体で見つかりまして。
シル:死んじゃったってこと!?
洋司:その通りです。この2人はつい最近まで来られていたんですか?
レヴィ:えぇ、だいたい1か月前くらいまで。体調でも崩したのかしらって心配してたのよ
シル:ウチは見たことないな。予約も被ったことない
レヴィ:シルちゃんとは業界が違うものね。この子はアイドル活動をしてる子で、こっちの子はモデルの撮影で何度か。ねぇ、亡くなったのは本当のことなの?
洋司:残念ながら。
レヴィ:どんな風にっていうのは聞けない?殺人の疑いってことは、自殺には見えなかったってことよね?
洋司:大きな外傷はありませんでした。容疑者ともみ合った形跡もない。ただ、被害者は全員髪を無惨に切り刻まれていました。全員元は髪が長かったと聞いています。…見ますか?
レヴィ:えぇ。見せてちょうだい。
洋司:ではこれを
シル:う、、わ……これは……
レヴィ:えぇ。酷いわね
洋司:切り刻んだ理由はまだ分かりませんが、死因は毒物の可能性があるとみて捜査を進めています。
レヴィ:毒物ねぇ……。他には?
洋司:被害者の全員が貴方の店を利用したことしか。ですので今あなたが疑われているんですよ。10日前の夜11時頃と、3日前の朝4時頃、貴方がたは何をされていましたか?
シル:アリバイってやつ?ウチ聞かれるの初めてだ
レヴィ:アタシもよ。えぇっと10日前ならその頃はお店の片付けをしていたと思うわ。3日前は、、ちょうど家に帰ってきた頃合いかしら
洋司:それを証明できる人は?
レヴィ:…残念ながら。店はアタシ1人だけだったし、朝4時なら家族もみんな寝静まっていたから。
洋司:ご家族がいるんですか?
シル:そーだよ!レヴィ姉は4児のママさん!!レヴィ姉ん家はママが2人いるの!
洋司:2人?
レヴィ:ちょっと!浮気男みたいな目で見ないでちょうだい!?奥さんとアタシの2人だけよ!どっちもママなの!
洋司:どっちも……?
シル:ダメだよレヴィ姉分かってない。このおじさん頭かたいよ。今どき多様性だよーおじさん?
洋司:んっ、失礼。それではレヴィさんにはアリバイが無いと。シルさんは?
シル:ウチは仕事中。どっちも駅前のバーだったよ。まぁ3日前は仕事終わりにそのまま飲んでただけだけどね
洋司:なるほど。ではおおよそシルさんには犯行は不可能でしょう。
シル:ウチだけじゃなくてレヴィ姉にもそれ言って欲しいんだけど〜?
洋司:残念ながらアリバイが無いので
シル:動機がないじゃん!
洋司:2人ともに関わりがある、という事でも十分です。ですが、ざんばらに髪を切るという行為をレヴィさんがしたというのは、いささか不自然だとは思いますがね。
シル:じゃあ違うじゃん!おじさんもそう思ってるんでしょー!?
洋司:ですが、プライドのあまり…なんてこともありえます。まあ、まだ決まった訳では無いので悪しからず。
シル:そうだけどさ〜…でもなんかモヤつく!
洋司:レヴィさん。最後に2人と会った時、何かおかしな点はありませんでしたか?
レヴィ:おかしな点、ねぇ……全員仕事での予約だったし、特段変なことなんて…
洋司:そうですか。この店は仕事以外での予約も?
レヴィ:早い話が成人式の子とか、結婚式にお呼ばれした子の髪結いよ。でもあの子たちは別にそんなんじゃないわ。もっとステージで動くような……、あ
洋司:何か?
レヴィ:2人ともその時、最近衣装を新しく下ろしたって聞いたわ。でも、別に不思議でもなんでもないわね。
シル:まー確かに。業界的にはよくある事だしね
洋司:なるほど、ちなみにそれはどんな服か分かりますか?
レヴィ:それが衣装自体は見れてないの。そんな話を聞いただけで
洋司:分かりました。こちらも捜査してみます。他になにか思い出した点は?
レヴィ:それ以外には何にも。
洋司:そうですか…。ご協力ありがとうございます。なにか分かりましたらご連絡ください。近いうちにまた来ますので。
0:(洋司退出)
シル:ねぇレヴィ姉。なんで2人のこと言わなかったの?殺しのリストにあったじゃん。
レヴィ:あらやだ。2人のこと知らないって最初に言ったのシルちゃんでしょ?アタシはそれに合わせただけよ。
シル:レヴィ姉悪い顔〜
レヴィ:シルちゃん程じゃないわよ。あの2人は界隈でも煙たがられてたし、殺されたって不思議じゃないわ。アタシに依頼がこなかったってことは、別の誰かがしたんでしょ。それにしても酷い遺体だったわ
シル:レヴィ姉のお眼鏡には叶わない人かー。てかウチもちょっと腹たったもん!レヴィ姉に喧嘩売るみたいな死体!犯人舐め腐ってるよホント!
レヴィ:もしかしたらアタシを蹴落とそうとしてる誰かかもねぇ…。人選が人選よ
レヴィ:まぁ、今の警察は優秀だからあまり心配しなくてもいいわ。さっ、お仕事頑張ってきなさい!
シル:はーい!
0:1週間後
シル:(鼻歌)〜♪
洋司:シルさん。今日はいらしてたんですね。
シル:あれ?刑事さんじゃん。今日“は”って何?
洋司:いえ。3日ほど前に来た時はいらっしゃらなかったもので。
シル:あー…あの日お店の営業自体が無くなっちゃったんだよね〜。そんで、今日はリスケした当日なの
洋司:なるほど
シル:なにか進展あった?
洋司:3日前にも伝えた事はありますが、新たに伝えねばならないことが出来まして
シル:えーなになに!?
洋司:…レヴィさんはどちらに?
シル:レヴィ姉なら裏にスタイリング剤取りに行ったよ。もう戻ってくるんじゃない?
レヴィ:お待たせ〜!あら?刑事さん!連日ご苦労さまね。どうしたの?
洋司:とても言いづらいのですが、新たな犠牲者です。マキさん、という方をご存知ですか?
シル:マキちゃん!?
レヴィ:嘘…もしかしてシルちゃんと同じダンサーの?
洋司:そうです。やはりご存知だったのですね…
シル:マキちゃんが死んだって嘘だよね!?確かに、ココ最近見なくなったな〜って思ってたけど、でも、まさか……
洋司:…………
シル:う、そ…。やだ、マキちゃん、マキちゃん…!!
レヴィ:シルちゃん…。ごめんなさいね。この子、マキちゃんとライバルで親友みたいな関係だったから
洋司:大丈夫。必ず犯人を見つけ出します。ですからどうかご安心ください
レヴィ:で、アタシ達にその話を持ってくるってことは、犯行の手口が同じって事ね。
洋司:はい。ただ今回は訳が違います。以前の2人と違って微かな外傷が。
レヴィ:てことは、犯人と揉みあった…?
洋司:可能性が高いです。あと、2人の着用していたドレスの詳細が分かりました。ドレスはどちらも緑色。今は両方クリーニングに出されているそうです。
洋司:それからもうひとつ。3人の死因は衰弱死、だそうです。突発的なものではない。計画された殺人の可能性があります。
レヴィ:衰弱死、毒物……それにドレスの色…。マキちゃんのは?
洋司:同じく緑色でした。とても鮮やかな緑色です。
シル:毒物で衰弱死って、人間に害はあるけど1度で致死量に…とは考えにくいやつだよね?
洋司:その通りです。現に被害者は皆、平均体重よりも細かった
レヴィ:…思い出した!
洋司:どうしましたか?
レヴィ:2人のうちの1人、モデルの子なんだけど、その子、最後に会った時「水着の撮影は初めて」だって言ってたわ。そこまで露出の高いものじゃなかったはずだけど、初めてって言ってたからなにかあったのかも
洋司:水着…?確かもう1人はアイドルをされているとか…
レヴィ:えぇ。スポットライトが熱くて汗も止まらないって愚痴吐いてたわ
洋司:汗…?まさか…っ!
シル:何?何か分かったの!?
洋司:いやでも、あまり現実的ではないというか…
レヴィ:いいわ教えてちょうだい。2人だけじゃなくマキちゃんまで殺したんですもの。犯人を捕まえるためにはどんな可能性だって調べてみるべきよ
洋司:そう、ですね。お2人の知人で、シルさんのご友人の無念は晴らさなければ
洋司:人間に害のある毒物は時に、鮮やかな発色をすることをご存知ですか?
シル:なんか、聞いたことあるかも…?
洋司:中世ヨーロッパでは顔料などに用いられ、多くの芸術家や貴婦人が亡くなられたとか。その1例が、シュバインフルトグリーンです。
レヴィ:シュバインフルトグリーン……緑色?
洋司:おっしゃる通り。これはヒ素に銅を混ぜた顔料が使われているとされています。ヒ素は人体に強い有毒性を持っていて、皮膚から吸い込んだヒ素がたちまち人間を衰弱させていくそうです。
シル:3人と症状が同じだ…なら!
レヴィ:汗をかいたり、水に溶けだしたヒ素が、あの子たちを衰弱死させた…?
洋司:可能性はあります!今すぐ鑑識にヒ素の検査をしてもらってきます!慌ただしくて申し訳ないが失礼!!
0:(洋司退出)
レヴィ:シルちゃん………
シル:レヴィ姉。今夜の仕事は中止。髪型も、今日はツインテールにする。
レヴィ:ええ。このままだと刑事さんが捕まえちゃうものね
シル:うん。親友の仇はウチが取る。お願いレヴィ姉。ううん、師匠
レヴィ:もちろん。悪い子はみんな報いを受けないとね。
レヴィ:『ツインテール』。しかと承りました。
0:夜更け
洋司:(心の声)殺害方法はわかった。だが容疑者の動機が分からん…。なぜ彼女たちを狙った?髪の長い女ならば他にもいただろうに…。そう、例えばあそこにいる女性のような…
洋司:…ん?うん!?ちょっと待ちなさい!!
シル:やばっ
洋司:今の人影……まさか!
シル:えーん!ごめん師匠みすったあ!!
レヴィ:あわてんぼうねぇ。シルちゃんはこっち。それにしても一体誰が……あら?
洋司:…レヴィさん?
レヴィ:お巡りさんじゃない。どうしたの?
洋司:…刑事です。貴方はどうしてここに?
レヴィ:仕事帰りよ
洋司:以前見たお客様とご一緒のように見受けられましたが。本当に仕事帰りですか?
レヴィ:ええ。仕事帰り
洋司:こんな夜更けに?
レヴィ:職業が職業ですもの。それに刑事さんの方こそ、こんな時間に何をしているのかしら?
洋司:見回りですよ
レヴィ:お巡りさんがする仕事を刑事さんが、ねぇ?
洋司:レヴィさんこそ自宅とは反対方向なのでは?それに、なんですかその髪型
レヴィ:似合ってるでしょ?アタシのお気に入りの髪型なの
洋司:その歳にもなってツインテールはいかがなものかと…
レヴィ:あらやあね。女はいくつになったって好きな格好をして自分を高めるものよ。否定から入るのはナンセンスだわ
洋司:あぁ、確か多様性、でしたか。これは失礼
レヴィ:それで、刑事さんがここにいる理由は?
洋司:言ったでしょう。見回りですよ。犯人の目星が付いたもので。
レヴィ:あらすごいじゃない。でも、ちょっとだけ遅かったかしらね
洋司:はい?
レヴィ:きっとすぐに分かるわ。
洋司:仰っている意味がよく分かりませんが
レヴィ:明日になれば分かるはずよ。そして、刑事さんがアタシに会いたくもなるはずね。明日は夜までお店にいるからいつでも来て。シルちゃんも予約してたはずだから
洋司:いいえ。今すぐお話を聞かせていただきましょうか。夜遅くに奇抜な格好をして出歩く人に職務質問をすることは、刑事以前に警察としてなすべきことでしょうから
レヴィ:あら素敵。警察の鑑(かがみ)ね。男には度胸があった方がいいもの。
洋司:男は度胸、女は愛嬌、ですか?随分とお古い言葉をお使いになられる
レヴィ:ちっちっち♪それにはアタシ流の続きがあるの。
洋司:続きとは?
レヴィ:「男は度胸、女は愛嬌、そして…………」
レヴィ:「………オカマは最強、」ってね♪
0:(大量の煙が舞う)
洋司:煙…!?(咳き込み)
洋司:っ、逃げられた…。何者なんだあの人は………
0:翌日
洋司:……こんにちは
レヴィ:あら刑事さんこんにちは。今日はお天気も良くて清々しい日ね。
洋司:…………
レヴィ:あらぁ?どうしたの?そんな怖い顔しちゃって。こんな素敵な日に似合わない顔よ。
レヴィ:犯人、捕まったんでしょ?
洋司:何故あなたがそれを?
レヴィ:ヒミツよ。
洋司:…ええ。自首してきましたよ。1ヶ月以上痕跡が掴めなかったのがいやにあっさり。せっかく殺害方法も分かってこれからという所だったのに……
レヴィ:自首すれば少しは減刑されるものねぇ
洋司:煮え切らない思いでいっぱいですが、それよりも貴方がたに聞かなければならないことが増えました。昨晩の言葉、一体どういうことだったのでしょうか。
レヴィ:簡単よ。同業だったの。アタシ達と
洋司:同業?犯人は髪結師だったと?
レヴィ:違うけれど、まぁ教える必要もないわ。機密事項だもの。
洋司:おふざけはよしてください。まさか本当に貴方がたが関与していたんですか!?
シル:殺人衣装師「クライト」。それが奴の名前。
洋司:シルさん?
シル:暗殺連合の中でも問題視されてたキチガイ犯だよ。美学がなんだとか言って汚ったない死体作る奴。
レヴィ:彼、アタシのことが嫌いでねぇ。髪の毛をざんばらに切ったのもそのせいだと思うわ。
シル:それだけじゃないよ。自分が作った服が髪の毛で隠れるのが嫌なんだって。あのざんばら髪の方がどうかしてるでしょ
レヴィ:まっ、上も処理に困ってたからちょうどいいんじゃない?同僚の処理はアタシの仕事だしねぇ。
洋司:一体、何を言ってるんですか!私をバカにしているんですか!?
レヴィ:あらぁ、仲間はずれにしてごめんなさい。その答えなら、もうすぐかかる電話を取れば分かるんじゃない?
洋司:そんなハッタリ、私には聞きませ(着信音)……はい大西。…なに、それは本当か!?あぁ、あぁ…分かった。
洋司:…犯人が、留置場で不審死をしたと。
レヴィ:ね?言ったでしょ?同士討ちがアタシのお仕事なのよ。
洋司:ありえない……犯人は檻(おり)の中だぞ!?それを一体どうやって…!
レヴィ:呪殺。それがアタシのやり方。クライトには可愛い女の子たちの髪を傷つけた分、それ相応の死に方をしてもらった
レヴィ:こんな風に、アタシ達とおんなじツインテールになって、その髪の毛に絞められてね。
レヴィ:髪は女の命とは、よく言ったものよね?
洋司:そんなことが、まかり通るわけが…!
レヴィ:まかり通るのよこの場合。それに、今回はシルちゃんが大活躍だったしね
シル:ウチも師匠の仕事にちゃんと関われて嬉しい。
レヴィ:それは良かった。でも、まだ1個お仕事が残ってるのよね
シル:うん。そうだね。ちゃんと聞かなきゃ。ウチの目的って本当はそっちだし
レヴィ:刑事さん。なんでアタシ達に嘘なんてついたの?
洋司:は?なんのことだか…
レヴィ:クライトはね、ロングヘアーの、それも髪を下ろしてる子しか狙わないの。いつも全部綺麗に結い上げるマキちゃんの標的にはならないはずよ。彼の美学に反するから
シル:それにマキちゃんは、赤と緑の区別がつかないの。だから、色の区別がつかないドレスは絶対に着ない。
レヴィ:刑事さん。クライトを隠れ蓑にマキちゃんを殺して、シルちゃんへのアピールでもしたかったのかしら?
レヴィ:捜査をいいことに、たくさんの子達から個人情報を抜いてるでしょう。特に年齢より見た目が幼い子達ばかり。マキちゃんやシルちゃんは童顔だものね。未成年にも見えるシルちゃんはさぞ貴方のお気に入りだったんでしょ?
洋司:………なぜ分かった。
レヴィ:視線っていうのは、他者によく見られているものよ。アタシが有力な容疑者のくせして、貴方はシルちゃんばかりに目がいっていたみたいだったから
洋司:…あぁ。ああそうだよ!始めは2人とも狙ってた。だがあの女、ちょっと手を出したからって抵抗しやがって、ウザったいから殺してやったさ!でも、まさかシルちゃんの親友だったとは行幸だった。この事件を解決すれば私はもっとシルちゃんに近づける!もっともっと、君を知れる…!
シル:キッショ。お前なんてクライトよりも興味ない
レヴィ:虫酸の走る自供をどうもありがとう
洋司:だが知ってどうする!?私は刑事だ。警察なんだよ!証拠のデータだっていつでも消す準備くらいはしてある!もみ消す権力も金もある!私を逮捕しようとしても無駄だ!
レヴィ:あらアタシ、いつ貴方を逮捕するって言った?
洋司:は?
レヴィ:逮捕なんてしないわよ〜!逮捕するってことは、いつか出所しちゃうじゃない?またシルちゃんが狙われる可能性があるのにそんな馬鹿なことしないわ。
シル:ウチも。犯罪者を他人に引き渡すほどお前のこと許してないし
レヴィ:ねぇ刑事さん。アタシ達がなんで今日お揃いのツインテールをしてるか、その意味は分かって?
洋司:まさか、私のことも呪い殺そうっていうのか?馬鹿馬鹿しい!今は科学の時代だ!この時代に呪いだのなんだのと、それこそ中世の時代の人間だろう!?
レヴィ:さあ?アタシは自分の目で見たものしか信じないタチよ。ほら、このとおり(指をならす)
洋司:なっ…髪が…!?
レヴィ:あら素敵な天然パーマ♪伸びきったらそれはそれは、よくくい込むロープ代わりになりそうね
洋司:やめろ…!やめろ来るな!私に近づくなぁ!!!
レヴィ:アタシの大好きな髪型で終わらせてあげる。死化粧でもスタイリングは完璧に。それが、アタシの美学だから
洋司:ぐあああああ!!!!!!
0:後日
シル:ねーねーレヴィ姉!聞いて聞いて!
レヴィ:随分上機嫌ねぇ。なあに?
シル:連合から褒められたの!このまま行くと新人賞も夢じゃないんだって!
レヴィ:すごいじゃない!シルちゃんは器用さんだものね。この間のも!もうアタシスカッとしちゃった!
シル:レヴィ姉が殺しのいろはを教えてくれたからだよ〜!!だからこれはレヴィ姉の手柄でもあるんだよ!
レヴィ:ん〜〜っもう!可愛いこと言ってくれるじゃな〜い!
レヴィ:それで?今日のヘアスタイルはどうする?
シル:んとね、今日は頑張りたいから…
シル:今日はツインテールで!!お願い、レヴィ姉
レヴィ:はい。承りました♪
さくらもち台本マラソン完走報酬台本
Special Thanks 伽羅雪様
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