【あらすじ】
かつて姉妹制度が行われていた女学院の後輩が今日も妹になろうとしてきます!?
出演人数:3人(男1女2)
時間:(推定)15分前後
配役
◆ユキ :【女】女子校の三年生 頼りがいがあり困ったことがあると放っておけない
◆桃(もも):【女】女子校の一年生 甘えた気質で姉妹制度に憧れている 男は嫌い
◆新(あらた):【男】共学高校の三年生 ユキの幼なじみ
***
0:放課後、教室
桃:ユキせんぱーい!!!
ユキ:桃…また来たの?何回来ようと私は絶対頷かないからね?いいかげん諦めなさい
桃:嫌です!桃はなんとしてでもユキ先輩の妹になりますから!そのためなら桃は毎日ユキ先輩の元に駆けつける所存です!
ユキ:はぁ…、そもそも!この学校で姉妹制度なんてものがあったのはもう何十年前の話よ?今更この学校で姉だ妹だなんていう話、誰も覚えてないって……
桃:桃が覚えてますっ!桃はそのためにこの女子校に入学したんですから!今でも鮮明に思い出せます!小さい頃に絵本で読んだ姉妹の契りのお話を…!
ユキ:絵本ねぇ…
桃:姉様が自分のロザリオを妹になる下級生にかけてあげて…妹のおでこにキスを落とす…!契約した2人に舞い散る花弁…東屋のガラスに当たって反射する光…!こんなに幻想的な空間は他にはありません…!
ユキ:それで自分もやりたいって思うようになったわけね…でも、それなら私じゃなくて別の上級生でもいいじゃない。なんでわざわざ私なんかに…
桃:そんなの決まってるじゃないですか!入学式の時に迷子になった桃を講堂まで案内してくれたあの時に…!桃は一瞬でユキ先輩の虜です!
ユキ:それ絶対私じゃなくてもよかったやつよ。
桃:いいえ!ユキ先輩しかあり得ません!桃との出会いはもはや運命!赤い糸で結ばれてるんですから!
ユキ:赤い糸が結ばれてる相手は本来将来の結婚相手とかでしょうに……。いいこと!?私は貴方の姉になるつもりはありません!何回も言っているでしょ?
桃:…分かりました。今日のところはこれで失礼します…。でも!桃は絶対お姉様のこと諦めませんからね!
ユキ:だからお姉様じゃないっ…!って……ほんとあの子足だけは早いんだから………
ユキ:はぁ……そろそろ本気で諦めてもらう方法でも考えるべきかもね。
0:その日の晩、ユキの部屋
新:あっはっは!!んだよまだ続いてんのか?そのユキ信者後輩の奇行は!
ユキ:笑い事じゃないわよ!ここのところ毎日朝と放課後にやってきて『お姉様になってください!』ってクラス中に響き渡らせるのよ?最近はクラスメイトにも『なってあげなよお姉様』って言われるようになっちゃったし…。
新:もう覚悟決めてお姉様になってやりなって。
ユキ:新までそんなこと…。って、そうじゃない!あんたを呼んだのは、この状況を打破するためよ!
新:っていうと?
ユキ:新、私の彼氏のふりをして。
新:はあ!?お前マジで言ってる!?
ユキ:マジもマジ。大マジよ。あの子は『誰かの特別』を欲してる。なら、その場所がもう別の人によって無くなっていたとしたら?諦めてくれるに違いないわ!
新:ユキの思い立ったら即行動は、大昔から変わんねぇな。おおかた、後輩を助けたのもそのひとつだろ?
ユキ:困ってる人は見過ごせないじゃない。
新:ま、それがユキのいいところだけどな。
新:てか!そもそもなんで俺が恋人の振りなんかしなきゃなんねぇんだよ。
ユキ:だって私は女子校だし、特別仲が良かった男友達なんて居ないもの。そこで!幼なじみであるあんたが抜擢されたわけ。
新:とんでもない貧乏くじ引いちまった…
ユキ:文句あんの?
新:べっつに〜?
ユキ:…そういえば、あんたが何も言わないから気にしなかったけど、あんたの通ってるところって共学よね?そこまで見た目も悪い訳じゃないし…、彼女の1人や2人くらい居ないの?
新:2人居たらおかしいだろ。……あの学校で彼女作る気なんてねぇよ
ユキ:意外。あんたのことだからもう居るもんだと思ってた。でも好都合ね。
ユキ:早速明日放課後に私を迎えに来なさい!桃に今度こそ諦めて貰うように言うんだから!
新:え〜面倒くさ…
ユキ:何か言った?
新:……なんでもありません。
0:翌日、放課後校門前
ユキ:あら、随分と早い到着ね?
新:ユキが時間指定しなかったからだろ?いつ来るかわかったもんじゃねえし…終礼終わって速攻で走ってきた俺をもっと褒めるべきだ
ユキ:偉いわね〜、よしよ〜し!
新:犬みたく扱うんじゃねぇよ!
ユキ:でもありがたいわ。これであとは桃が来るのを待つだけだもの。
新:お前の口ぶりから察するに、一筋縄じゃ行かなさそうだけどな。
ユキ:そこはまぁ、新に頑張ってもらうってことで
新:丸投げかよ!
桃:あっ!ユキ先輩やっと見つけましたー!教室にいなかったからどこに行ったんだろうっ…て、、、え…?
ユキ:(よし、食いついた!あとは計画通りに…)
ユキ:…コホンッ。桃、紹介するわね。今私がお付き合いしている、彼氏の新くんよ。
新:こんにちは。ユキから話は聞いてるよ。
桃:ユキ先輩に彼氏…?話は聞いてる…?そんな事って…
ユキ:(ここまでは順調だわ!あとは桃が諦めてさえくれれば…!)
桃:ユキ先輩は学校以外でも桃のことをお話ししてくれてたんですか!?感激です!感無量です!
ユキ:・・・あれ?
桃:これで桃とユキ先輩の仲はもっと深まっているはずです!さあユキ先輩!今日こそ桃のお姉様に…!
新:ちょちょちょちょ、待って桃ちゃん落ち着いて!?
桃:下劣な雄豚は黙っていてください。私は今ユキ先輩とお話しているのです。
ユキ:も、桃…?
桃:はい!なんでしょうユキ先輩!
ユキ:あの、なんて言うかちょっと…怖いわ
桃:ユキ先輩に怖いと思わせちゃうだなんて…、桃はダメな後輩です…。
ユキ:そうじゃない。そうじゃないのよ。
桃:?
ユキ:桃あなた…、男性に対してはいつもこんな感じなの…?
桃:と、言いますと?
ユキ:さっき新のことを、その……『下劣な雄豚』って言ってたじゃない…?
桃:へ?
ユキ:え?
桃:やだなあユキ先輩!桃がそんな汚い言葉を使うわけがないじゃないですか!幻聴じゃないですか?
新:しらばっくれた!すっごいしらばっくれた!
桃:雄豚は黙ってぶひぶひ鳴いていてください。人語を話すとか何様ですか?
新:ほらまた言った!しかももっと酷い罵声になってるし!
桃:怒鳴られました怖いです!
新:俺が悪いみたいに言わないでよ!
ユキ:2人とも落ち着きなさい!!
ユキ:新。桃は年下なんだからもう少し優しくしてあげて。桃、私の彼氏をあまり悪く言わないでちょうだい。
桃・新:ごめんなさい……
ユキ:分かればよろしい
桃:でも!やっぱりこんなすぐ怒鳴る男にユキ先輩を任せてられません!新さんとおっしゃいましたね。今すぐユキ先輩と別れてください!
ユキ:桃!?
新:あいにく俺はそんなユキに選ばれたんだよ。ユキの特別はもう俺なの。
ユキ:新まで!?何やってんのよ2人とも!
桃:納得がいきません!新さん。貴方に決闘を申し込みます。私が勝ったらユキ先輩の元から身を引いてください!
新:じゃあ俺が勝ったらユキのことは大人しく諦めろよ。
桃:望むところです!けちょんけちょんにしてやります!
ユキ:ちょっと待って2人とも!私の知らないところでどんどん規模が大きくなってるんだけど!?
桃:大丈夫ですユキ先輩。桃があの極悪非道なクソ男から救い出してみせますからね!
新:安心しろユキ。年下相手にムキになるほど俺は子供じゃない。
ユキ:そういうことじゃないって……!ああもう!せめて私の意思を汲み取りなさいよー!!!!!
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