第六話 突撃☆貴方の一張羅【1:2:1】

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出演人数:4人(男1女2性別不問1)

 

時間:(推定)20分

 

配役

◆魔王   :【男】ちょっとだけ(?)押しに弱い魔王様

◆カトリーヌ:【女】魔王の秘書、有能で魔王様をいじるのが日課

◆エレン  :【女】魔界図書館司書、ズメイの妹 ビビり

◆グレイグ :【性別不問】宮廷針子。オネエ口調でテンションが高い。可愛い子に目がない

 

 

***

 

魔王:かとりーぬぅー。今日の予定はなんだぁ…?

 

カトリーヌ:溶けてないでシャキッとしてください魔王様。らしくないですよ

 

魔王:いいではないか。さばく書類もない事だし、我は思う存分ゴロゴロする!それで?何も言わないということは、やっぱり予定は何も無いのだな!

 

カトリーヌ:いいえ。午後から仕立てのため宮廷針子が登城予定ですよ。

 

魔王:なっ…!?まさか、、あやつか…?

 

カトリーヌ:世代交代も何も聞いていないので、あやつというのはグレイグ様でお間違いありませんよ。

 

魔王:あやつか…まだあやつなのか…!

 

カトリーヌ:何か問題でも?今現在、服飾に関してグレイグ様の右に出るものはおりませんよ。

 

魔王:腕は認める!我が気にしているのはそこではない!

魔王:圧倒的に絡みづらいのだ!むしろあやつが絡みついて来ると言っても過言では無い!

魔王:逃げたい!!!!!!!!!すごく逃げたい!!!!!!

 

カトリーヌ:無駄です。先程登城したと連絡がありました。

 

魔王:そういうことはもっと早く言え!

 

カトリーヌ:聞かれませんでしたので。

 

魔王:カトリーヌのバカ!アホ!

 

カトリーヌ:あ、それパワハラですか?訴えますね。

 

魔王:もういやなのだ!我は出ていく!一刻も早く逃げないと終わる!

 

グレイグ:あら

 

魔王:あ

 

グレイグ:魔王様〜!!!アタシが来たことを予測して開けてくれたのかしら!?やだもう惚れちゃうわ〜!!

 

魔王:ち、違...へぶぅ!?

 

グレイグ:んもぅ!そんなにアタシが来るのを楽しみにしてくれてたの?腕がなっちゃうわね!!!任せて!針子の腕にかけて完璧なものを作るわ〜!!

 

魔王:ぐ、ぐるじぃ...。かとり...ぬ...

 

カトリーヌ:(ため息)グレイグ様。そろそろお離しくださいませ。魔王様が窒息して死にます。

 

グレイグ:あら、ごめんなさいね。興奮しちゃってつい♪

 

魔王:『つい』で我を殺そうとするな......けほっ、さっさと済ませろ。

魔王:先月服を注文したばかりだから今日はマントでも新調するのか?

 

カトリーヌ:いいえ

 

グレイグ:違うわよ

 

魔王:じゃあ何を...

 

グレイグ:パーティー用のお召し物よ。魔王様♪

 

魔王:パ、パーティーだと!?城でそんな予定は入っていないぞ!?

 

カトリーヌ:魔王城で、ではありません。オーガの若君がこの度即位なさるそうです。そのパーティーの招待状が来ているのですよ。

 

魔王:我は知らんぞそんな招待状!

 

カトリーヌ:そうでしょうね。私の権限で見せてませんでしたから

 

魔王:何故だ!?

 

カトリーヌ:だって魔王様、あらかじめ見てたら絶対行きたくないって言うじゃないですか。

 

魔王:そんなこと!ない、ぞ.........

 

カトリーヌ:目が泳いでますよ

 

魔王:とにかく!我にないしょでそんなことをするなど不敬だぞっ!クビにしてやる!

 

カトリーヌ:あら、よろしいのですか?ここ労働環境がブラックで困ってたんですよ〜。誰かさんが仕事を押し付けるせいで。

 

魔王:うぐっ、

 

カトリーヌ:ズメイ様のところにでも行きましょうかねぇ〜。きっと雇ってくれると思うんですけれど…

 

魔王:あ、、いやその…

 

グレイグ:魔王様。意地張ってないで謝んなさいな。かっこ悪いわよ

 

魔王:カ、カトリーヌ。我が悪かったからその、辞めるのは...

 

カトリーヌ:......仕方がないですね。そもそも辞めたくても辞められませんよ。私が辞めたら誰が後釜に入るのですか。

 

魔王:そ、そうか...!よかった

 

グレイグ:喧嘩は終わった?はやいとこ採寸していくわよ。魔王様あっち向いて

 

魔王:うむ!

 

カトリーヌ:まったく、調子いいんですから...

 

グレイグ:カトリーヌちゃんお疲れね。ちゃんと休めてるの?

 

カトリーヌ:ショートスリーパーですのでお気になさらず。

カトリーヌ:それより申し訳ないのですが、納期を少し早めてもらうことは可能ですか?

 

グレイグ:何日までに仕上げればいいかしら?

 

カトリーヌ:1週間後です

 

グレイグ:あら、随分無茶させるのね?

 

カトリーヌ:できませんか?

 

グレイグ:いいえ?完璧に仕上げてみせるわよ。だけど……早めるのならそれなりのものを、ね?

 

カトリーヌ:……どなたがお望みですか?

 

グレイグ:話が早くて助かるわぁ!実はここに来るまでにそれはもう可愛い子見つけちゃって!!あの子磨けば光るわよ〜!早く着飾りたいってウズウズしてるの!

 

カトリーヌ:お名前は分かりますか?

 

グレイグ:それが分からないのよねぇ。図書館の制服を着てたから司書さんじゃないかしら。ただアタシの事苦手そうだったのよねぇ…。目が合っただけで子猫みたいにビクついて逃げられちゃったわ。

 

カトリーヌ:あぁ……。ご安心ください。彼女はガタイのいい人が苦手なだけですので。

 

グレイグ:あらそう?というかカトリーヌちゃんその子のこと知ってるの?

 

カトリーヌ:恐らくですが私の友人です。少しお待ちください。

カトリーヌ:………もしもしエレン?少しいいかしら。そう、執務室ね。嫌?困ったわね。せっかくズメイ様に渡さなきゃいけない書類があるのだけれど……、来てくれる?じゃあ待ってるわね。

カトリーヌ:すぐに来るそうです。

 

グレイグ:カトリーヌちゃんってば…そんなにペラペラ嘘八百並べられるのね。恐ろしい子…

 

カトリーヌ:冗談がお上手ですね?

 

グレイグ:やーね嘘よ嘘!助かったわ!アタシ1人じゃ探す前に迷っちゃうもの!

グレイグ:じゃあさっさと魔王様の衣装のデザイン決めちゃいましょうか。色味とか生地の希望はある?

 

魔王:うむ!やはりここは我にふさわしいようなデザインでないとな!肩に牙獣(がじゅう)のキバを付けるとしよう!強そうでいいだろう!

 

カトリーヌ:却下です

 

魔王:なっ!?

 

グレイグ:アタシもそれはちょっと、ねぇ……

 

魔王:何故だ!おしゃれだろう!?

 

カトリーヌ:主役より目立つつもりですか。あと普通にダサいので却下です

 

魔王:ダサい…

 

グレイグ:パートナーがいるなら色味合わせたいわよねえ…。カトリーヌちゃんは一緒に行くの?

 

カトリーヌ:悩ましいところです。私が適任でしょうが私が城を空けることを考えると不安しかありませんから。

 

グレイグ:そうなの?難しいわね…

 

エレン:(ノック音)カトリーヌ?書類もらいに来ましたよ…

 

カトリーヌ:いいわよ。入って。

 

エレン:失礼します。それでお兄さまに渡す書類ってどこに

 

グレイグ:(遮る)そうそうこの子よこの子〜!!!!

 

エレン:みぎゃあ!!??!??!?

 

グレイグ:やっぱりそうだわ!日焼けを知らない陶器肌!手足は細いわね、ちゃんと食べてるのかしら。やだ!髪バッサバサじゃない!ちゃんとリンスまでしてるの!?

 

エレン:かかかかかかかかかかとりーぬぅ!!!!!たすけてくださぁい!!!!

 

カトリーヌ:諦めなさい今の貴方はいけに…グレイグ様のお人形さんです。大人しく着飾られてなさい。

 

エレン:ひどいです!騙したんですかぁ!?

 

カトリーヌ:騙したなんて人聞きの悪い。貴方をここに連れてくるまでの方便です。

 

エレン:やっぱり騙してるじゃないですかぁ!!!

 

グレイグ:フリルももちろん似合うでしょうけれどごちゃごちゃしちゃうかしら…レースを編み込んでセクシーに仕上げるのもいいわよねぇ……普段は何着てるの?

 

エレン:ひゃっ、ふだんとはなんでしょう私は食べても美味しくありません!!!!

 

グレイグ:食べたりしないわよ傷ついちゃうわ。

 

エレン:はいっ!そうですよねすみません!!って、、わわわわたしのローブがぁぁぁ!!!

 

グレイグ:あらやだアンタこれしばらく洗ってないでしょ!?まさか毎日着てるわけじゃないでしょうね!?

 

エレン:それしか着たくないんです!安心するんですぅ!!

 

グレイグ:せめて洗濯しなさいな!待ってなさい持ってきてる既製品でいくつか見繕ってあげるから

 

エレン:そそそそんなフリフリなもの着れませ…ふみゃあ!?そんなスケスケの布切れなんて着れませぇん!!!!

 

グレイグ:そのローブの方がずっと布切れよバカ!!

グレイグ:ちょっとカトリーヌちゃん!今すぐこの子お風呂に入れて!

 

カトリーヌ:承知しました

 

エレン:ふぎゃああ!!

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魔王:女というのは恐ろしいな…。

 

グレイグ:さて、かわい子ちゃんはひとまず置いといて、パーティーだものね。スーツが無難でしょうけれど何かドレスコードはあるのかしら?

 

魔王:確かカトリーヌが持ってた招待状には…『赤以外』?またよく分からんな…

 

グレイグ:主役の若様がその色を着るんじゃない?グレイグ:そうだわ!なら魔王様はピンクにしましょうよ!

 

魔王:ピンク!?

 

グレイグ:男のピンクって良いのよ〜!みんなやりたがらないから不人気と言えば不人気なんだけど、でも魔王様が着ればヒット間違いなしよ!!

 

魔王:いやだ!そんな可愛い感じになれば我が侮られるでは無いか!それに目立つ!!そうだ目立つぞ!良くないのではないか!?

 

グレイグ:さっきまでルンルンで牙付けようとしてた人に言われてもねぇ…。

 

魔王:うぐっ…。しかし!赤とピンクはほぼ同じ色であろう!ドレスコード違反だ!もっとこう…黒とかの方がかっこよさそうだぞ!

 

グレイグ:やーね、赤だけで何色あると思ってるの?そ・れ・に!ちゃんと淡いピンクにするわよ〜!そうすればパートナーの子も着やすいドレスになるわ〜!黒なんて論外よ論外

 

魔王:いやでも、我1人で行けば済む話だし…

 

グレイグ:パーティーを舐めないでっ!!!あそこは女の戦場よ。絶ッ対に!連れていくべきだわ。それに!魔王様が1人で社交ができると思ってるの?

 

魔王:でも……

 

グレイグ:連 れ て い く べ き だ わ

 

魔王:い……いたら行く。居たら行くぞ。居なかったら我1人で行く!ピンクもなし!

 

グレイグ:……分かったわよ。変なとこ強情なんだから。

グレイグ:とりあえず採寸終わらせちゃうわよ。前とそう変わりないみたいだから早く仕上げられそうだわ。

 

魔王:なるべく我に威厳があるようなものにしろよ

 

グレイグ:あらやだ。魔王様の威厳は服くらいで消えるの?

 

魔王:消えるか馬鹿者!

 

グレイグ:じゃあ大丈夫ね。楽しみにしてて♪

 

魔王:うむ!………うん?

 

グレイグ:よし!帰ったら早速取り掛かるわね!それじゃあ…

 

カトリーヌ:お待たせ致しました

 

グレイグ:ナイスタイミングよカトリーヌちゃん!こっちも終わったわ

 

カトリーヌ:ありがとうございます。

 

エレン:へうぅ……、もうお嫁に行けません…

 

カトリーヌ:『お兄様と離れるから結婚したくない』と言ったのはどこの誰でしたかね

 

エレン:そうですけれど!もう!カトリーヌのばか!

 

グレイグ:そ・れ・じゃ!着せ替えましょうねぇ〜♪

グレイグ:何がいいかしら?寒色系もいいけど暖色も素敵よねぇ!いつものローブが紺色なんだし、黄緑とかピンクに挑戦してみましょうか!

 

エレン:ピンク!?無理です無理です!!

 

グレイグ:採寸するわよ〜!!!

 

エレン:みぎゃあ!!!!!!

 

魔王:も、、やだ帰りたい…

 

カトリーヌ:魔王様の家ここですよ

 

魔王:実家に帰りたい…

 

カトリーヌ:実家もここですよ

 

魔王:ここじゃないどこかに行きたい…

 

カトリーヌ:ちょうどいい時にパーティーがありますよ

 

魔王:そだな…参加しよ…うん…

 

カトリーヌ:それでは私はパートナーのあたりをつけておきますね

 

魔王:あぁ……、あぁ!?待て待てそれでは我がピンクに!

 

カトリーヌ:ピンク?いいじゃないですか。……ふっw

 

魔王:笑ったな!?いやだ!!ピンクなど…嫌だあぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

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花より桜餅

さくらもちの台本置き場 未完結ものアリ〼

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