出演人数:4~8人(男2女2 兼ね役可能4)
時間:60分(推定)
配役
◆虚木晃牙(うつろぎ こうが):🚹 巷を騒がせる連続殺人犯
◆西田紬(にしだ つむぎ):🚹 大学で昆虫学を専攻している研究員。桔梗の部下
◆姫野愛莉(ひめの あいり):🚺 晃牙のことが好きな大学生、ヤンデレ気味
◆桔梗(ききょう):🚺 マフィアのボス
(兼役推奨)
◆警官A
◆警官B
◆アナウンサー
◆彼氏
* * *
警官A:見つかったか!?
警官B:だめです!どこにも姿がありません!
警官A:探せ!これ以上野放しにはできん!
警官B:はい!
0:
0:
アナウンサー:『......速報です。本日午後11時頃、〇〇市内で20代女性の遺体が見つかりました。犯行に使われたものが刃渡り10cm以上のナイフであることから、警察は今月から発生している連続殺人事件と関連があるとみて操作を進めています...』
0:
0:(SE)パトカーのサイレン
晃牙:はっ...はぁ、はぁ...(舌打ち)、しつけーな
晃牙:まぁ、人殺してんだから当たり前か。でも全然足りない。まだ駄目なのか?んでだよ……っ!
0:(SE)サイレンの音(大)
0:(SE)複数人の足音
晃牙:っ…!近くまで来てる。こんなところで捕まってたまるかよ!俺は...、俺は!
桔梗:(遮る)助けてあげましょうか?
晃牙:っ!?誰だ!
桔梗:女の子に物騒なものを向けないでくれる?私、あなたを助けてあげようとしているのに。
晃牙:そんな話誰が信じれると思う。お前が警察かもしれないだろ。
桔梗:信じられないのならそれでいいわ。ただ、私の手を取らないとあなたが捕まるのは時間の問題よ?
晃牙:お前は一体何者だ?なんの目的があって俺に近づいてきた?
桔梗:今すぐにでも殺しそうな人に言ってもねぇ…。ただ、私は貴方を警察よりもよく知っているわ。ねぇ?連続殺人犯の、虚木晃牙(うつろぎこうが)くん?
晃牙:っんでそれ…。っ!
桔梗:随分と嘘をつくのが下手みたいね?安心して。目的も、私が何者なのかも…一緒に来てくれたら教えてあげる
晃牙:それまで黙って着いてこいってか?
桔梗:えぇ
晃牙:...わかった。ただし、警察に連れていこうとしたらその場でお前を殺すからな。
桔梗:あら怖い。こっちよ。
0:場面転換、桔梗の執務室
晃牙:ここは...
桔梗:私の執務室よ。そこに立っていて。
晃牙:客を立たせて自分は座るのかよ。
桔梗:あら。私、あなたにそこまでする必要あるかしら?
晃牙:はあ...で、お前の目的はなんだ?
桔梗:そんなに焦らないで。自己紹介するわ。私は桔梗。簡単に言えばここら一帯を取り仕切る闇組織のボスってところね。
晃牙:は!?お前がか?
桔梗:ええそうよ。悪い?
晃牙:いや悪かねぇけど...体格のいい男とかがボスじゃねえのな
桔梗:(ため息)今この世界で重要なのは体格じゃなくて情報よ。まぁそんな事はいいわ、本題に入りましょう。 あなたを助けた目的だけど、早い話が労働力よ。それも、誰でも簡単に殺すことの出来る人の...ね?
晃牙:つまり殺人の技能が高いやつを探してるってことかよ。
桔梗:大正解。それであなたを探していたのよ。ひと月余りで13人を無差別に殺した殺人鬼...、貴方がそこまで殺人を続けるのには、なにか理由があるのかしら?
0:
晃牙:…昔経験した高揚感をずっと探してる。
桔梗:それが人を殺すことによって得られるものだと?
晃牙:あぁ。
桔梗:(ため息)理由は短なる快楽殺人か。もっと面白い理由かって期待したのに。
晃牙:ぁ ゙?その辺のゴミと一緒にすんなよ。俺は明確な目的があって殺してんだよ!
桔梗:はいはいうるさいわね。それで、あなたは私に協力してくれるの?
晃牙:ガン無視かよ。そんで、断るって選択肢は無さそうだな。
桔梗:別に断ってもいいのよ?だけどそうね...ウチのシマで勝手に暴れてくれたから、明日の朝日も見れないかも?
晃牙:脅してんのか?
桔梗:まさか!でも私と組めば私から指定した人にはなるけれど人を殺せるし、警察からの隠れ蓑になってあげるわ。利害の一致ってやつじゃない?
晃牙:......分かった、お前に協力してやるよ。
桔梗:契約成立ね。仕事については追って連絡するわ。
晃牙:分かった。話はこれで終わりか?
桔梗:ええ、家まで送ってあげる。それと、明日私の部下と会ってもらうから
晃牙:お前の部下ァ?
桔梗:あの子は掃除屋なの。顔合わせは早い方がいいでしょ?
晃牙:どうせこれも選択肢なんざねえんだろ?わかったよ、どうせ暇だしな。
桔梗:どうも。下に車を用意してあるからそれに乗って帰って頂戴。明日の詳細は後で送るわ。
0:少し間を置いて
紬:(ノック音)失礼致します桔梗様。ご用事はお済みですか?
桔梗:あら、もう出来上がったの?ご苦労さま。そうだ、明日あなたの仕事仲間が会いに来るから仲良くしてあげてね?
紬:はい。承知致しました。
0:場面転換、道端
愛莉:じゃあゆうくん1時間に集合ね!
晃牙:桔梗から言われた場所は...バー?なんで飲み屋なんだよ。んでどこだよ。
0:愛莉と晃牙がぶつかる
愛莉:いたっ!
晃牙:は、鈍くせえな、気ぃつけろよ。
愛莉:は、はい...
愛莉:今、愛莉に向かって気をつけろって言った?それって、愛莉を心配してくれてるってこと?嬉しい...!
晃牙:おい、何ブツブツ喋ってんだ。
愛莉:へっ!?な、なんでもないです
晃牙:そうかよ。ったく、訳わかんねぇとこ教えやがって…
愛莉:今のってまさか…
0:場面転換、とあるBAR
(SE)ドアベル音
晃牙:お前か?桔梗の部下ってのは
紬:ええそうですよ。その口ぶりからして、君は虚木晃牙さんですね。桔梗様からお話は伺っています。
晃牙:桔梗『様』ねぇ...。随分とアイツのこと慕ってんのな
紬:桔梗様から研究の支援をしていただいているので。
晃牙:研究?
紬:はい。自分は普段、大学で昆虫学を専攻しています。
晃牙:...地味だな。いかにも気弱な奴がやってまーすみてえな教科だろ?
紬:あはは、本人が目の前にいるのに随分ばっさり切りますね。
晃牙:別にお前におべっか並べても意味ねえだろ。
紬:...なるほど、実に君らしい。
晃牙:何笑ってんだ?
紬:失礼、なんでもありません。 そうだ。今回なぜ君と自分を会わせたのか知ってますか?
晃牙:ああ、そういや知らねえな。顔合わせってのは聞いてたけど。
紬:それに加えて自分個人からお願いが一つあります。まず顔合わせの理由からですね。結論から言うと、君が自分たちを殺そうとしないようにするためです。
晃牙:どういうことだ?
紬:自分たちは後処理が仕事です。したがって君が殺した現場に行く必要があります。もし君が自分たちのことを知らずに殺そうとしてきたら、たまったものじゃありませんから。
晃牙:なるほどな。顔合わせってのはそういう意味か。じゃあお前からってのは?
紬:見せたいものがあります。どうぞこちらへ。
0:移動中、薄暗い部屋を進む
晃牙:…おい、まだ着かねぇのか?
紬:まだ少ししか歩いてませんよ。あ、そこ気をつけてくださいね
晃牙:あ?何があって…(ぶつかる音)いっだ!!!!
紬:だから気をつけてくださいと言ったじゃないですか。晃牙さんって意外と鈍臭いんですか?
晃牙:コイツ…!お前が桔梗の部下じゃなけりゃ殺してたところだよ。
紬:怖いこと言いますね。組織を裏切ることはもちろん、桔梗様の許可無く殺しはご法度。破れば即処刑されますから。自分も、君も。
晃牙:・・・・・・
紬:さて、着きましたよ。今明かりをつけますね。
晃牙:まぶしっ…
0:案内された場所は研究室、虫の標本や生体が数多く存在する
紬:ここの地下は大学とは別の研究施設です。解体もここで。
晃牙:なんだこれ。...虫か?
紬:触らないように気をつけてください。全て人体に有害な毒を持っているので
晃牙:は!?あぶねえもん触らせやがって
紬:自分にとっては我が子も同然ですよ。
晃牙:んで?お前からってのは?
紬:君に、自分が作った毒を使ってみて欲しいんです。
晃牙:毒?
紬:はい。昆虫学が専攻だと言ったでしょう?どれほどの効果が出るのか試して欲しいんです。実験体になりそうな人は沢山いるのに全員死んでいるから一部の研究しかできず、今までは手が出せなくて。
晃牙:……ははっ!さっきはお前のこと気弱な奴って言ったがありゃ前言撤回だ。お前、大分イカれてんな。
紬:おや、それは最高の褒め言葉ですね。だって、イカれてなきゃこの世界で生き残れるわけがない。
晃牙:お前、名前は?
紬:西田紬と言います。
晃牙:紬?女みてえな名前だな。
紬:自分はこの名前気に入ってるんですよ。蜘蛛は自らが紡ぎあげた糸で獲物を生きながら食らう、最高に残酷じゃないですか!それと関連している名前なんて、誉れでしかない。
晃牙:そうか、俺もお前とは仲良くやれそうな気がする。
紬:ではこの件は了承ということで?
晃牙:ああ。だけど俺にも殺させろよ。あんま我慢はできないタチなんでな。
紬:君も相当イカれてますね。
晃牙:褒め言葉なんだろ?
紬:ええもちろん。
0:場面転換、道端
晃牙:もうこんな時間か。つい話しすぎちまった。
0:愛莉、物陰から姿を現す
愛莉:あ!出てきた!
晃牙:あ?お前さっきの...
愛莉:覚えててくれたんですか!?嬉しい...!
晃牙:なんでまだここにいんだよ。あれから数時間経ってるってのに。
愛莉:貴方のお名前が知りたくて!
晃牙:俺の名前?
愛莉:はい!あっ、愛莉は姫野愛莉っていいます!大学生です!
晃牙:はあ......俺がお前に名前を教える必要あるか?
愛莉:あります!だって、愛莉と貴方が出会ったのは運命だから!
晃牙:俺とお前が会ったのはただの偶然だ。てなわけで早く帰れ。
愛莉:嫌です!名前を聞くまで愛莉は帰りませんからね!
晃牙:はあ......晃牙、これでいいな、んじゃもう来んなよ。
0:晃牙、足早に立ち去る
愛莉:晃牙さん、素敵な名前...!無愛想だけど愛莉に恥ずかしがってるだけだし、変わらない態度も全部好き...!大丈夫!晃牙さん絶対愛莉のこと好きだもん!あぁ...もっともっと晃牙さんを知らなきゃ...!
彼氏:おい!今までどこに行ってたんだよ!馬鹿女が勝手に…
愛莉:(遮る)ゆうくん!あのね!愛莉、今日運命の人に会ったの!だから、ゆうくんはもういらない。
愛莉:あっ!でも、ゆうくんの舌は好きだったから、ゆうくんの舌は愛莉にちょーだいね♡
(SE)刺される音
0:場面転換、BAR
(SE)ドアベル
紬:すみません、今日はもう閉店で…姫野?
愛莉:紬!あのねあのね、また処分して欲しいんだけど!
紬:またですか?今度はどこを?
愛莉:今度は舌!ホルマリン漬けにして取るつもり!
紬:(ため息)彼に同情してしまいますね。姫野の彼氏になったばかりに…。好きだったんじゃなかったんですか?
愛莉:え〜?何回も言ってるじゃん。愛莉、そこしかゆうくんのこと好きじゃなかったもん。
愛莉:ねえそれより聞いて!今日とっても良い日でね!愛莉の運命の人と再開したの!
紬:やけに饒舌ですね。もしかして姫野がずっと探してたって言うあの?
愛莉:うん!あの人と愛莉は運命なの!あれはね…!
0:場面転換、回想
愛莉:(M)3年前にパパが居なくなった。ママは愛莉を置いてお仕事ばっかり。そんな時、新しいパパがおうちにやってきた。
愛莉:(M)でも、嬉しい気持ちはすぐに無くなった。パパが愛莉のことを気持ち悪い目で見てきて、色んなところを触られて、そんなパパをママは止めてくれなかった。
愛莉:(M)ごめんなさい。ママが望む愛莉でいられなくてごめんなさい。言うとおりにしますから、だからこの気持ち悪いのやめて
愛莉:(M)愛莉の声は届かなかった。
母親:だ、誰よアンタ!?
愛莉:・・・・・・?
母親:ひっ…!?やだやめて!殺さないで!!!
晃牙:ゴミの声なんざ聞こえねぇよ
愛莉:(M)それは突然だった。愛莉の嫌なこと、全部あの人が無くしてくれた。月明かりに照らされたあの人の顔を愛莉は忘れたことなんてない。
愛莉:…綺麗
晃牙:あ?このガキ生きてんじゃねぇか
愛莉:……殺して、くれるの?
晃牙:…死にたがりを殺す趣味はねぇよ。死にたきゃ勝手に死んでろ
愛莉:(M)愛莉は殺されなかった。助けられたんだ。あの人は、愛莉を助けるために来てくれたんだ。私の王子様、また会えたらその時は___
0:回想終了
愛莉:あの人に似てる人ばっかりと付き合ったけど、本物にはかなわないや。あの頃から変わってなかったの。愛莉にだけ優しくしてくれるの。だから愛莉もなんでもするの♡
紬:それは優しいというわけでは…いえ、野暮ですね。それで、再会した姫野は嬉しくなって彼氏を捨ててしまった、と。
愛莉:本物が見つかったんだもん。レプリカはいらないでしょ?
紬:姫野もイカれてますよね。はぁ、どこかに一般人は居ないものか…
愛莉:また意地悪言って〜。でも紬だって今楽しそうな顔してるよ?良いことあったの?
紬:顔に出てました?仕事仲間ができまして。待ちわびましたよ、これでようやく願いが叶いそうです。
愛莉:ふ〜ん。笑い方変。気持ち悪いよ
紬:酷い言い草ですね。
愛莉:まぁいいや。じゃあゴミの処理よろしくね〜
0:場面転換、紬の研究室
晃牙:終わったぞ
紬:お帰りなさい。お疲れ様でした。
晃牙:今回のは完全に死ななかった。
紬:効果の方は?
晃牙:だいぶ苦しんでたぞ。あの顔が俺がやったものじゃねえってのが腹立つくらいの最高の表情だった。
紬:なら、実験はおおむね成功ですね。
晃牙:致死毒じゃなかったってことか?
紬:はい、今回は死なない程度に苦しませることを目標にした毒なので。
晃牙:またおっかねえもん作るよなお前。なんでそんな作ってんだ?
紬:そうですね...ある人を殺すためです。それも長く苦しめて殺したい。
晃牙:紬にそこまでさせるってどんなやべえ奴だよ。
紬:自分が知る限りで一番イカれてる人ですよ。
紬:…晃牙さんは、なぜ殺しを?
晃牙:あ?桔梗といいお前といい…、人の過去掘り下げんの好きな。
紬:興味本位ですので答えてくれなくても結構ですよ。
晃牙:じゃあ等価交換だ。お前の話も聞かせろや
紬:自分のですか?構いませんが…
晃牙:俺は昔経験した高揚感をずっと探してんだ。ババアを殺した時の高揚感をな。
紬:ババア?
晃牙:俺の親だよ。父親はしらねぇ母親もクソみてえな奴だった。殺されそうになったから殺したんだよ。そしたら最高の気分になってな!殺ししかねぇと思ったんだ!
紬:なるほど…。ただの快楽バカかと思えば過去の重い快楽バカでしたか。
晃牙:喧嘩売ってんのか?
紬:そんなことは
晃牙:んじゃ次はおめぇだ。親は?
紬:両親共に医者です。
晃牙:完全に坊ちゃんかよ。そんな奴が道踏み外しちまってかあいそうにな〜
紬:もう死んでいますのでお気づかいなく
晃牙:なんだ死んでんのか
紬:えぇ、もう昔の話です
晃牙:お前にとっちゃちょうど良かったか?
紬:実にね。正直医療がどうのこうのとうるさかったんですよ。自分は毒虫が好きだと言うのに…
晃牙:殺してやればよかったじゃねぇかそんな奴ら
紬:殺したかったですよ。でも邪魔されて出来ませんでした。
晃牙:ドンくせぇなお前…あ?
(SE)携帯の着信音
晃牙:はいもしもし?...今から?へいへい分かりました。桔梗から呼び出されたから行ってくるわ。んじゃ、後よろしく。
晃牙:それと、お前の夢叶うといいな。殺しは楽しいぞ?
紬:...はい。楽しみに待っていてくださいね。晃牙さん
0:場面転換、桔梗の執務室
桔梗:来たわね。座って座って。
晃牙:要件は?
桔梗:そんなに急ぐことないでしょ。
桔梗:今月に入ってもう15人...なかなかいい成果じゃない。どう?楽しい?
晃牙:まぁな。サツには追われねえし断末魔は聞けるしで最高だ。でも...
桔梗:『でもまだ満たされない』......そうでしょ?
晃牙:...ああ。
桔梗:じゃあこれ、次の依頼よ。
0:書類を差し出す。『対象者:西田 紬』と書かれている
晃牙:...おい桔梗。こいつはなんの冗談だ。
桔梗:どうかした?
晃牙:「どうかした」じゃねぇ!なんで次の奴が紬なんだよ!アイツはお前の部下だろ!?
桔梗:あら、随分と仲良くなったみたいね。でも間違ってないわ。次の依頼はこの子よ。
晃牙:ふざけんじゃねぇよ。仕事仲間殺すとか馬鹿なこと言ってんじゃ...
桔梗:(遮る)随分と優しいことを言うのね。女子供にも平気で手をあげてきた貴方が、『仲間だから殺せない』ですって?面白い冗談だわ。
晃牙:とにかく、俺は降りる。他に手頃なやつ探せ。
桔梗:そう。じゃあ、貴方の心を満たす方法を教える、と言ったら?
晃牙:は?ふざけんなよ...、関わってから2ヶ月も経ってねえお前に分かるなら俺は今こんなに苦労してねえ!
桔梗:でも実際私には方法がわかるわ。そしてそれは、貴方には一生分からないでしょうね。
桔梗:少し時間をあげる。いい返事を期待してるわね。貴方がやりたいことがなにか。1度考え直してみたらどう?
(演出)少し間をあけて
晃牙:俺のやりたいこと…?ははっ!なんで忘れてたんだろうな?俺のやりたいことなんざ、ハナから決まってんだろうが。
0:場面転換、道端
晃牙:紬。
紬:晃牙さん。こんな時間に珍しいですね。なにか御用ですか?
晃牙:お前いつあの店にいる?
紬:そうですね...平日はまばらですが、確実にいるのは金曜の夜から日曜までです。それがどうかしましたか?
晃牙:いや、次の仕事がお前が居た方が都合が良さそうだからな。ワリ、また後で連絡するわ。
紬:そうですか。では自分はこれで。
(演出)少し間をあけて
晃牙:殺るなら金曜か土曜か。どっちにしたって押し入ればいいが騒ぎになっちゃまずいよな...
愛莉:あ!晃牙さんやっと会えた!愛莉寂しかったんだよ?そうそう!愛莉ネイル変えてみたんだけどどう?
晃牙:触んな
愛莉:え?晃牙さん急にどうしたの?そうだ!愛莉晃牙さんのためにクッキー焼いたんだけど食べる…
晃牙:(遮る)黙れよ。お前に構ってる時間なんてねぇ。消えろ。
愛莉:え?晃牙さ...
晃牙:(舌打ち)聞こえなかったか?今すぐに俺の視界から消えろ。
愛莉:は
愛莉:なんで...?なんでなんでなんで!?晃牙さんが愛莉に冷たくするわけない...絶対何か理由が......
愛莉:そうだ紬...。晃牙さん、紬と一緒にいた...。紬だ!紬が愛莉から晃牙さんを奪ったんだ!許せない許せない許せない!
愛莉:紬、邪魔だなぁ...。邪魔なら、消さないと。だって愛莉は欲しいもの以外、全部邪魔な存在なんだから。
0:場面転換、回想(数年前)
愛莉:綺麗...!でも、あの人の目の方がもっと綺麗だったなぁ…。はぁ、このゴミ早く片付けないと...
愛莉:んしょ……重…
桔梗:貴方、何してるの?
愛莉:っ!!!
桔梗:そこに捨てたのは人?
愛莉:なら、なんだっていうの?
桔梗:その人、私にくれない?
愛莉:は?
桔梗:捨てるのなら私に頂戴。いいでしょ?
愛莉:別にいいけど…
桔梗:どうも。それと、また捨てる時はこの子に連絡をして。
愛莉:西田、紬…?
0:回想終了
愛莉:桔梗さんと紬のおかげで助かってたけど、しょうがないよね。愛莉と晃牙さんを邪魔する紬は、愛莉がちゃんと片付けないと。晃牙さんのためなら、愛莉、なーんだってできるよ...?
0:場面転換、金曜夜、BAR
(SE)ドアベルの音
紬:どちら様で......姫野?連絡もなくどうしました?
愛莉:・・・・・・
紬:姫野?(腕を伸ばす)
愛莉:全部...紬が...っ!(ナイフで紬の腕を切る)
紬:いっ…!?
愛莉:全部紬が悪いんだよ?紬が愛莉から晃牙さんを奪うから
紬:それってどういう…
愛莉:愛莉見たの。紬と晃牙さんが仲良く話してるとこ。急に晃牙さん愛莉に冷たくなるし、紬が晃牙さんを誘惑したんでしょ?
紬:晃牙さんとは仕事仲間です。姫野が思ってることは何もありません
愛莉:でも晃牙さんも紬のこと鬱陶しがってるはずだよ?だって晃牙さん、一人で『殺るなら金曜か土曜か...』って言ってたもん。
紬:それは仕事の話です。姫野には関係ありません
愛莉:うるさい!!晃牙さんは愛莉のもので、愛莉は晃牙さんのものだもん!紬なんかに渡さない!愛莉と晃牙さんを邪魔する人は紬でも許さない。 ...晃牙さんは優しい人だから、愛莉が変わりに殺さなきゃ...
晃牙:なにやってんだよ
愛莉:え?こ、晃牙さ...
晃牙:(遮る)何やってたって聞いてんだよ。
愛莉:晃牙さんは優しいから紬を殺せなかったんでしょ!?だから代わりに愛莉が!
晃牙:はっ、計画バラして人の楽しみ奪って“俺の代わりに”?ふざけたこと抜かしてんじゃねえぞ。あと、俺はお前のものになった覚えはねぇ。もの扱いすんなよ。分かったらさっさと消えろ。
愛莉:こ...晃牙さ...
晃牙:喋んな。殺すぞ。
愛莉:殺、す…?晃牙さんが愛莉のこと殺したら晃牙さんは幸せになる!?ならいいよ!愛莉のこと殺して!愛莉のこと殺して、一生愛莉のこと覚えてて!!!
晃牙:(舌打ち)
(SE)ナイフで刺す音
愛莉:はっ、ぁ…こ、ぅがさん……♡
(SE)倒れる音
紬:姫野!
晃牙:はぁー...つまんな。
晃牙:自分から殺されに行った挙句笑いながら死ぬとか、クソでしかねえわ。
紬:晃牙さん。姫野を殺す必要なんてどこにも
晃牙:アイツが望んだことだ。あと、情報を漏らした奴は殺す。当たり前の事だろ?
紬:情報って...
晃牙:紬を殺す計画。
紬:は...!?
晃牙:だーかーらー、お前を殺す計画だよ。実行直前にバラされるとか、マジで運悪ぃな 。
紬:姫野が言ってた冗談は、本当だったということですか?
晃牙:本人にバレちゃ全部無駄だからな。てなわけで、死んでくれや紬。
紬:待ってください!仕事の同僚を本気で殺す気ですか!?
晃牙:ああ、仕事だからな。それも誰からだと思う?桔梗からのだぞ!?笑いが止まんねぇよな!
紬:あのクソアマ...!
晃牙:あ?おいおい鬼ごっこか〜?
0:場面転換、研究室に続く道から研究室
紬:はぁ…!はぁ、はぁ…
晃牙:抵抗しない方が苦まずに死ねるぞ紬ぃ〜。ま、抵抗してくれても俺は一向に構わねぇけど?
紬:待ってください晃牙さん。取引をしませんか?
晃牙:あ ゙?この期に及んで命乞いか?
紬:自分が以前に殺したい相手がいると言いましたね。自分の計画に乗ってくれたら自分 が死ぬよりもっと良い死に顔を見せてあげられます。
晃牙:へえ、誰を殺すつもりだ?
紬:...桔梗ですよ。自分が一番殺したいほど憎んでいる相手は、桔梗です。自分は、自分は彼奴のせいで...!
0:場面転換、紬の回想
桔梗:クロドクシボグモの研究をしているのはあなた?
紬:どなたでしょうか...
桔梗:私は桔梗。あなたの研究は今後の医療界を大きく変えるわ。研究費用を全面に持つから私のところで働いてみない?
紬:本当ですか!?この子達も連れて行けますか?
桔梗:研究に使う昆虫たちね。構わないわ。ただし、私が頼んだ薬も作って欲しいの。もっと強力な麻酔薬とか...あなたになら作れると思って。
紬:もちろんです!今までのパトロンには『全員昆虫なんて気味が悪い』と言われ続けていて...
桔梗:まあ…ひどい人も居るものね。安心して、私のところでは目一杯研究させてあげるわ。
紬:ありがとうございます!
________
桔梗:ねえ紬、その研究はなあに?
紬:桔梗様...これは、オブトサソリの毒によるマラリア治療の研究で...
桔梗:ふーん...
桔梗:ねぇ紬。私、貴方にお願いしたのなんだっけ?
紬:...チョウセンアサガオを使って中毒性の強い麻薬を作り出すこと、です...
桔梗:そうよね。なら、くだらない事してないで作業に戻りなさい。
紬:はい...
桔梗:それ、捨てといてね。データも全部消すのよ。
_________
紬:桔梗様、それは…
桔梗:さっき処分した人の死体よ。解体して健康な臓器だけ取り出して頂戴。
紬:こんなの、こんなの出来ません!自分は研究をさせてくれると言われてここに来たんです!
桔梗:あなたの研究費用にいくらかかっていると思ってるの?これくらいしてもらわなきゃ割が合わないわ。じゃあよろしくね。
________
紬:どういうことですか桔梗様!自分の昆虫たちには手を出さないと約束していただいたはずです!
桔梗:毒のない昆虫なんて必要ないでしょ。捨てられない紬のために私が動いたのよ?むしろ感謝して欲しいくらいだわ。
紬:あなたについてきたのが間違いだった...!
桔梗:あら、辞めたいの?別にいいけど...あなたが作った薬で人が死んでいるから、私がその気になればもう日の当たる場所で研究はできないわよ?いいの?
紬:......クソッタレが
0:回想終了
紬:初めは許可されていた自分の研究はやがて否定され、麻薬や毒物を作り出すことを強制されてきました。研究データは全て破棄、可愛がっていた昆虫たちも研究に必要な子以外は全て殺処分!自分は!自分は殺したいほど桔梗を憎んでいます!それもただ死なせはしない。死なない毒で苦しめ、顔を爛れさせ、苦しんで苦しんで死にたいと懇願させてから殺す!そのためにこの子達で毒物を作り出した!自分と組んでください晃牙さん。自分なら君により良い死に際を提供できる。
晃牙:ははっ、面白い提案だな
晃牙:だけど、悪ぃな紬。桔梗と約束してんだわ。お前を殺したら俺が求めてたものをくれるってな。提供相手が死んじまったら元も子もねぇ。
紬:どうして
紬:どうして…どうしてアンタは桔梗に付く!?その桔梗がどうしようもないクズなんだよ!アンタもいずれアイツの自分勝手さに振り回される!自分ならそんなこと!
晃牙:『させないのに』ってか?随分な自信だな。
晃牙:あんな紬。人間ってのはみんな自分勝手な生き物なんだよ。自分のやりてぇことに俺を巻き込もうとしてる紬も、俺の計画ぶち壊したあの女も、桔梗もな。
晃牙:だったら、俺が好きにやっても怒る筋合いはどこにもねぇだろ?楽しかったぜ。お前と仕事できたことはな。だから俺の幸せのために死んでくれや。
紬:お前、、イカれてるよ...!
晃牙:ははっ、褒め言葉なんだろ?
(演出)戦闘
晃牙:おらっ!(腕をナイフで切り付ける)
紬:っ!痛いじゃないですか…
晃牙:逃げねぇと当たっちまうぞ!?
紬:これでも、くらえっ…!(硫酸を晃牙の目にかける)
晃牙:あああああ!!!痛てぇじゃねぇか、あ?
晃牙:なぁ、つむぎ!!!(紬を押し倒す)
紬:っく…!(メスを振りかざす)
晃牙:っと、あぶねぇもん振り回しやがって。(メスを奪って捨てる)
紬:離せ…!
晃牙:じゃあな、紬(ナイフを突き刺す)
紬:はっ……、ぐ、ぁ…
晃牙:(深く息を吐く)
桔梗:(拍手)お見事。仲間を殺した気分はどう?
晃牙:桔梗……そりゃもちろん、今まで見たどの奴よりも最高だったよ!!片目が焼けたのは想定外だけどな。
桔梗:そう。結構なことね。
晃牙:で、お前の言う通り紬を殺した。もちろん教えてくれるんだろうな!!俺はどうすればいい!?誰を殺せば俺の心は満たされる!?
桔梗:それは...貴方よ、虚木晃牙。
晃牙:...は?
桔梗:あなたの願いは自分自身を殺すことで手に入るわ。だって、今までずっと他人を殺してきても満たされていないんだから。
晃牙:・・・・・・
桔梗:さっきから薄々気づいているんでしょう?片目が焼け、身体中は傷だらけ、自分が徐々に死に近づいていくにつれ興奮を覚えていることを。
桔梗:オススメは頸動脈よ。びっくりするほど血が出るから。
晃牙:......は、はは、ははははは!!
(SE)首を切る音
晃牙:大っ正解だよ桔梗...!この感覚、あの日と同じで最っ高の気分だ!!!
桔梗:可哀想な紬、あなたを殺した人間は自らの手で死んで行ったわ。最後の最後まで願いが叶わないなんて、最高に残酷な結末ね!
桔梗:貴方が私を殺そうとしていることに気づいていないわけが無いでしょう!?結果として貴方は最高の毒物を作り出してくれた!感謝してもしきれないわ。結局貴方は、 最期まで私の操り人形だったってわけ...まぁもう聞こえていないでしょうけれど。ご愁傷さま。最高に可哀想で可愛い、私のお人形さん。
桔梗:貴方たちも興味があるならどうぞいらっしゃい。だけど、彼らのようになりたくないのなら迂闊に触らない方がいいわ。綺麗な花には毒がある。それは、桔梗も同じことよ。
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