領収書カードバトル2 旅行編【2:0:0】

「領収書カードバトル2 旅行編」

 

【あらすじ】

次の旅行先に行こうとしている友人。昨日までいた愛知での1日で獲得した領収書でカードバトルを行う!

 

出演人数:2人(男2)

時間:10分(推定)

 

配役

◆アツシ:とても元気で好戦的な大学生

◆レイ:冷静で理詰めしてきそうな大学生

 

* * *

(以下、本文)

 

レイ:遅い。お前はトイレに何分かかってるんだ

 

アツシ:この車両に無かったんだから仕方ないだろ。

アツシ:てか、こん中に駅弁迷いすぎて発車時刻ギリギリになった戦犯がいたような気がするんだけど?

 

レイ:間に合ったんだから良い

 

アツシ:それを言うなら無事に乗車できた後にトイレに行った俺はもっと許されてしかるべきだけどな!

 

レイ:いいから早く席につけ。大きな声は周りの客に迷惑だ

 

アツシ:ここぞとばかりに正論っぽいこと言いやがって…!

アツシ:テーブルまで展開してノリノリすぎだろ。どんだけこの勝負にかけてるんだよ

 

レイ:負ける訳には行かないからな。なにせこの領収書カードバトルに勝った暁には、今日の遊び代全奢りがかかっている

レイ:そして行き先は大阪の巨大テーマパーク……。この勝負、なにがなんでも勝たせてもらう!

 

アツシ:まぁ無理はねぇか。あそこは自販機の水も相場の5倍はかかるから破産は確実。俺だって負けたくねぇよ

アツシ:レイお前、まだ新幹線に乗ったばっかってのに、ずいぶん熱くなってんな〜

 

レイ:早く魔法カードとトラップカードを選ぶぞ。希望はあるか?

 

アツシ:あー…俺は特に無いな。なんでもいい

 

レイ:なら魔法カードは「領収書強奪カード」にしよう。本来ならお互い別々のものを選べるが…そんな戦い方は俺もお前も好まないだろ?

 

アツシ:今回使える領収書は昨日かかった旅行費用だしな。自陣の強化よりは対戦相手への妨害の方が勝率は高いか

アツシ:ならトラップカードは、、これなんかどうだ?

 

レイ:いい選択だ。異論は無い

 

アツシ:んでこれを発動するターンだけど、申告せずに始めるってのは?

 

レイ:……面白いことを考えるじゃないか

 

アツシ:公式戦じゃないんだ。ルール変更上等だろ?

 

レイ:もちろんだ。それじゃ、始めよう

レイ:領収書は昨日の朝から夜までのもので3ターン制。金額が同じ交通費とホテル代、入場料等は除外。魔法カードとトラップカードの発動ターンはお互いに秘匿。異論は?

 

アツシ:ない!!!来いよレイ、*決闘《デュエル》スタートだ!!

 

レイ:先攻は俺が貰おう。1ターン目、ドロー!!!

レイ:俺の午前の領収書は、愛知で食べたモーニングセット1500円、別で頼んでいた季節のフルーツパフェ1200円、名古屋城で買った土産が3700円と、食べ歩いたおやつ代1700円。合計で8100円でターンエンドだ

 

アツシ:おっまえ……!最初から飛ばしすぎだろ

 

レイ:何を言う。勝負の場で手を抜くなど愚か者のすることだ。

 

アツシ:大飯食らいがカードバトルになるとここまで強くなるなんてキツすぎんな。そんじゃ俺はここで魔法カードを発動させてもらうぞ!

 

レイ:「領収書強奪カード」。そのターンで一番高価な相手の領収書を自分のものにすることが出来る魔法カード…!

 

アツシ:レイの土産代3700円が俺の領収書として換算される!そしてここからが俺の領収書。レイと同じモーニングセット1500円、熱田神宮で俺だけ買ったお守りと朱印料が3300円!そして食べ歩いた飯代700円!合わせて9200円でターンエンドだ!

 

レイ:アツシに奪われて俺の合計は4400円。だが、俺がまだまだ出せる領収書は多いぞ

 

レイ:午後のターンだ。昼のひつまぶし、美味かったよな?お前は竹だったが、俺は特上の松だった。金額差がいくらだったか、お前は覚えているか?

 

アツシ:ああ忘れもしないさ。竹が3000円だったのに対して松は5500円。ほぼ2倍で俺にはとても手が出せなかった。だからお前が頼んだ時は驚いたよ


レイ:そうだ。5500円のひつまぶしに俺は肝吸いを追加した。よって5800円に値上がりだ。その後行った名古屋港水族館。お前が彼女に買ってこいと強請られた土産を買っている隙に俺は南極観測船を見に行っていた。その入場料が300円だ。2ターン目の合計は6100円。さっきと合わせて10500円だ

 

アツシ:じゃあ俺のターンだな。俺が食った竹のひつまぶしが3000円。名古屋港水族館で買った土産代が確か……うわ、5400円って、俺そんなに買ってたのか…。そいやお前土産買わなかったんだな

 

レイ:渡す相手がいない

 

アツシ:………確か最近別れたんだったっけ?

 

レイ:それ以上言うな。怒るぞ

 

アツシ:馬のケツをわざわざ叩くことしねぇよ

アツシ:そんであとは…なんもねぇな。そんじゃ俺の合計は8400円、合わせて17600円!

 

レイ:確定させたな?俺はここで魔法カードとトラップカードを同時に発動する!魔法カード「領収書強奪カード」によりお前の名古屋港での土産代は俺の領収書として換算。合計変わって俺が15900、お前が12200だ。

 

アツシ:っぱこのターンで使ってくるよな!で、問題はトラップカードだけど……

 

レイ:ああ。トラップカード、「神の一手」を発動!

レイ:バトルの最中にルールを追加または変更出来る公式大会では禁止のトラップカード。こういう場でしか使えないのはつまらないが、個人間でなら問題はない。

 

アツシ:で?なんのルールにするよ

 

レイ:次の3ターン目、俺の出す中で1番安い領収書を2倍に、お前の出す中で1番高い領収書を2分の1にするというルールを追加だ

 

アツシ:大富豪みてえなルール作りやがって…!ただでさえ負けてるのに俺が超不利になるやつじゃん!

 

レイ:だから公式大会で禁止カードになったんだ。あと、細すぎるルール作ってジャッジも理解できなくなったことがあったから禁止になった

レイ:が、今は非公式の場、お前は了承したんだ。文句を言われてもなあ?

 

アツシ:悪っ!こいつすっげー悪い顔してる!おまわりさーん!!

 

レイ:乗客の迷惑になるだろう。やめておけ

 

アツシ:くぅー!腹立つ!

 

レイ:それにお前もルール追加ができるんだから、俺が不利になるようなルールを作ればいい。まぁ、俺の勝ちは保証されたようなものだがな

 

アツシ:さっさと3ターン目に行け馬鹿!

 

レイ:それじゃ。夜は手羽先を食べに行ったからその代金が……と、店員が選んだのはお前のクレカだったな。じゃあ晩飯の領収書は無いのか

 

アツシ:そうだよ!アレ高かったんだからな!

 

レイ:それじゃ出せる領収書は2軒目の居酒屋で飲んだ1500円とコンビニで買った酒とつまみの2000円くらいなのか。でもルール追加で1500円が2倍の3000円になるから、全部で4500円か

 

アツシ:だからお前の合計が20400円……。こっから勝つには俺の合計が20500くらい必要だからあと…8300!それなら晩飯代が8000円だったからそれで…!

 

レイ:いいや、それが一番高いはずだろ。ルール追加でその領収書は半額になる。そのカードの攻撃力は4000円だ

 

アツシ:ああそうだった!やっべえ…2軒目はお前に払ってもらったし、あと出せるカードなんてせいぜいコンビニ代くらいで、でもそれも2000円は超えてねぇ…!

 

レイ:そう。お前の勝ち目はほぼ無い。お前にはまだルール追加ができるが、俺とお前のどちらも発動するものでないとルール追加は出来ない。そしてお前が俺と同じルールを追加することは不可能。つまり、ここから俺に勝つ事は絶望的。諦めて今日、俺に奢るんだな!!

 

アツシ:無理だ……テーマパークなんて行った日にゃ飯代以外にも払うものなんて山ほどある。何か、なにか手は……ああくそ!

 

レイ:ははは!タイミングの悪さを恨むんだな!

 

アツシ:このままじゃ大阪で絞りとられ……いや、待てよ!

 

0:アツシ、新幹線の窓に張り付いて景色を眺める

 

レイ:どうした。窓は開かないぞ

 

アツシ:…そうだ。そうだこれだよ!この手があった!

アツシ:レイ。俺たち今、どこにいるか分かるか?

 

レイ:新幹線の中だろう?何を言ってるんだ

 

アツシ:いやそうじゃない。俺たちが今いる場所は、地図上だとどこだ?

 

レイ:もうすぐ京都だろ?なら京都かせいぜい滋賀あたり……っ!

 

アツシ:気づいたな?だったら話が早い

 

レイ:いや待て!俺の想像が仮に正しかったとして、それでもそのルールは暗黙の了解でご法度のはずだ!

 

アツシ:それは公式大会での話だろ?個人間で使用は別にルール違反でも違法でもない。俺とお前の間柄なら尚更だ

 

レイ:まさか、このために最後の最後まで取っておいたんじゃないだろうな…!

 

アツシ:いいや。本当にたまたま思いついただけだ。でもな、お前が先攻を取ってくれて感謝してるぜ

アツシ:俺の「神の一手」は特定の戦いの場でのみ効力を発動する地方ルール!!今俺たちがいるのは滋賀、つまり関西だ!!

 

レイ:関西人……。ことに大阪の人達は出費を安く抑えられたことを誇り重要視する。つまり

 

アツシ:領収書カードバトルの勝利条件も逆転する…!この戦い、お互い安く済ませられた方が勝ちの領収書カードバトルに姿を変える!!

アツシ:3ターン目の俺の領収書合計は5800円。全部合わせたらピッタリ18000円!そしてお前は20400円!俺の、勝ちだあああ!!!!!!

 

レイ:く………ちっくしょー!!!!!!!

 

アツシ:無駄に自販機で水買ってやるよレイ〜?

 

レイ:その前にジェットコースター乗り回して乗り物酔いさせてやる…!

 

アツシ:ほーーん?そんなこと言って〜?レイくんは彼女いないからお金持ってるんでしょお〜?

 

レイ:あー腹立つ!勝者の余裕腹立つ!

 

アツシ:負け犬の遠吠えが聞こえるなあ〜!!だっはっはっはっは!

 

レイ:…………………

アツシ:…………………

 

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0:

 

レイ:……でも、その遊園地こそ初めは彼女と来るべきだったんじゃないのか?

 

アツシ:言うな……それ俺も今気づいたとこなんだよ

 

レイ:ちょっとむさ苦しすぎたか、男2人で遊園地は…

 

アツシ:だな…………………

 

0:(次は〜終着、新大阪、新大阪です)←言わなくても可

 

 

 

領収書カードバトルの大まかなルール説明は前作をご覧ください

  

 

【本作品で使用した魔法カードならびにトラップカード】

『お前のものは俺のもの』・・・発動ターン時、相手の領収書の中で1番高価な領収書を相手の手札から除外し自分の手札に出来る。

 

『神の一手』・・・バトル中にルール変更が可能。ただし変更されたルールを元に戻すことは出来ない



花より桜餅

さくらもちの台本置き場 未完結ものアリ〼

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